DOOM「No/Re:MORSE」ツアー最終日レポート!

2018年12月29日 更新 ライブレポート
DOOM「No/Re:MORSE」ツアー最終日レポート!
「STILL CAN'T THE DEAD 」(2016年)に続きDOOM再始動後の完全新曲を収録した3曲入りEP「No/Re:MORSE」リリース・ツアーのファイナルを飾るワンマン・ライブが新代田FEVERにて12月15日に行われた。会場に入りステージを見ればPAZZの要塞の如きドラム・セットが鎮座、ファンは感嘆の声を上げ携帯で写真を撮っている。場内に流れていたBGMはZADKIEL、DOOM加入前に今は亡き元メンバーの諸田耕が在籍していた日本の元祖スラッシュ・メタル的なバンドとして知られている。その元ドラマーであった木下裕一が1週間前に亡くなったこともあり、ライブハウスで切磋琢磨してきた同志への彼らの思いも込めてのものだろう。
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定刻になると場内暗転、それと同時に流れてきたのは鳥の声のする牧歌的な情景にノイズが切り込んでいく様なSE、ファンならそれが“Rocking Russian”のイントロだと直ぐに気が付くだろう。ステージに藤田タカシ<g/vo>、古平崇敏<b>、PAZZ<ds>が登場すると場内から拍手が起きる。独特な緊張感の中、それぞれの楽器の最後の調整を行い、藤田はマイクに向かって何かを言おうとした瞬間にPAZZがドラムのビートを叩き出し“Rocking Russian”がスタート。藤田は何を言おうとしていたのか、PAZZは狙って叩き始めたのか、それは分からないがDOOMらしいスタートだと思った。藤田は左足をモニターにかけギターをかき鳴らし、野太い咆哮を上げている。音源に比べてタメを効かせた感じで、それぞれ今日はどうだといった感じにお互いを探りあっている様でもあり、緊張感がステージを支配している。曲が終わり、古平がベースを高く掲げたのを合図するようにスタスタとした疾走感のある “Complicated Mind”が始まり、その激しいビートに合わせて体を揺らしているファンも多い。そのままアルバムと同じく“Fall, Rise and...”に雪崩れ込む。ブルーとレッドのライトが交錯する中、DOOM独自の世界が構築されていく。まるで会場の熱気を視覚化した様なレッド・ライトの中、曲が終息していく。それぞれがチューニングを終えた頃に藤田が「ようこそ、マザーファッカー!」と歓迎の言葉を伝えると、古平が摩訶不思議な音空間を作り出す様にフレットレス・ベースの音色を弾き“Killing Field”が始まる。藤田のどこか安らぎを感じさせるギターの音色はPAZZのドラムを合図に激しい展開に突入、藤田と古平のコーラスの掛け合いも聴きどころ。後半のバトルも凄まじく、最少人数で繰り広げられるKING CRIMSONといった感じ。そして、カオスをそのまま引きずる様に“Fence and Barricade”へと続いていく。曲が終わり、ギター・ノイズが響く中、「この12月に仲間が去りました。そいつらに聞こえる様に!」と藤田が叫び、ギターをかき鳴らし“Slave of Heaven”が始まった。深読みかもしれないが曲名を合わせて考えると、藤田の歌がいつもよりも心に深く沈んでいく。曲が終わり再び口を開き「皆さんは何があっても生きていてくださいね。いいですね!」と優しい藤田らしい言葉が飛び出す。場内から大きく「ハイ!」という返事があり、場内が笑いに包まれる。それまで息が詰まるような緊張感が支配していた場が和む。「前半戦で笑っちゃダメだ」と言いながらも、それもまんざらではないといった感じの藤田。それもPAZZのドラムが再び曲の始まりを告げるとビシっと引き締まり、変拍子を多用しヘヴィかつダンサンブルな“Death of False Rock!”で再びDOOMの世界に引きずり込まれる。そして激しく展開していく“Painted Face”へと続いていく。
藤田タカシ&lt;g/vo&gt;

藤田タカシ<g/vo>

「暮れの忙しいところ、皆さんよく来てくれましたね」と藤田は感謝の言葉を述べ、ギターをチェンジする。ここまではビクター時代の曲ばかりだったなと思っていると、オリエンタル感のあるギターの音色が場内に染み入っていく。ツアーのメインとも言える新作EPから“War Daddy”である。カオスが幾重にも折り重なった様な大作でDOOMの奥深さに震える。そして現在のメンバーになっての“The Folly and Splice”へとカオスは続いていく。PAZZの空気をスパッと切り裂く様なドラミングに目を奪われる。そして再びEPから“No/Re:MORSE”が炸裂、初期のDOOMを思わせる狂暴かつ緻密なナンバーで埃を纏いながらのリフで疾走していく。曲がピタッと終わり、DOOMの世界から現実の世界にファンが戻るまでのほんのちょっとの間があり、その後に拍手が場内に鳴り響く。その拍手とEPの最後を飾るインスト曲“Freeze”をSE代わりにメンバーが一度ステージから姿を消す。“Freeze”はそのまま「STILL CAN’T THE DEAD」のオープニングを飾るSE“Introduce 99s Life... Getting Lies”に繋がっていく。ファンの視線集まるステージに再びメンバーが登場し、アルバムの流れと同じく藤田がインダストリアル的無機質な世界を打ち破る肉感的なギターから“All Your Fears”がプレイされると再びファンは現実世界からDOOMの世界に迷い込む。そして同じアルバムからタイトル曲にして大作“Still Can't the Dead ”に続く。語弊があるかもしれないが原始的な手法で緻密な空間を作り込んでいく感じで、それがDOOMのブランドになっているとも再確認させられる曲。密度の濃い情念がねっとりの絡みつき、ジワリとした独特の熱気と緊張が会場に渦巻いている。その空間の中では汗が流れるのも煩わしく感じる。“Those Who Race Toward Death”で更にDOOMの凄まじさに圧倒され、曲が終わると大きな拍手が起こった。その拍手が小さくなっていくのと反比例して古平のハートウォーミングなベースの音色が大きくなっていく。DOOMならではの優しさに包まれたバラードと言える“水葬”が静かに、そして優しく深く聴く者たちの心に突き刺さる。この日は先のMCでも言っていた「12月に去った仲間」への鎮魂歌でもあったのだろう。そこからPAZZのドラムに導かれ“The Stupid Man ”が始まり、DOOMの激しい世界に叩き込まれる。PAZZはクールな表情を一切崩さないが、えげつないドラミングで圧倒してくる。藤田が「一度引っ込んで、出てきてみんながいなかっらどうしようかと思った。死活問題だよね」と場内の笑いを誘うMCの後に「本編もあと残すところ10曲となりました」と告げると場内は大歓迎とばかりに大きなが拍手が起きる。それを打ち消すように「すいません!」と藤田が叫ぶと場内は更に笑いに包まれる。そんな和やかな雰囲気の中、藤田のメタリックなリフを刻み“Revenge and Dirty Tricks”が始まる。いくつもの表情を見せ、メタモルフォーゼしていく曲にファンは酔いしれ体を揺らしている。曲が終わり大歓声と拍手の中、メンバーはステージ奥の暗闇の中へ消えていった。
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古平崇敏<b>

鳴りやまぬ拍手の中、「ハイハイ、どうも!」と陽気に藤田がステージに登場。少し場内をいじり笑いを誘った後に「このワンマンの前に悪い知らせが2つありまして…、生ある内はやることやって、後悔なくして後悔する。というのが人生だと思います。」と藤田らしい言葉を述べる。場内から「長生きしてください!」と声が上がる。「しんみりしちゃった?」という声を合図に“Bad Priest”、そしてイントロのベースが印象的な“Body No Body”と初期のスラッシュ・メタル・シーンを暴れまくった時代の曲が続く。砂埃を巻き上げながら疾走していくかの如きリフが印象的。ヘヴィネスとファストなパートが交互に畳みかける“Last Stand to Hell”で圧倒させられ、ラストは速弾きベースが印象的な名曲“Why!?”で2時間のDOOMの世界が締めくくられた。曲のラストにはおまけ代わりに“I'm Your Junky Doll”が少しだけ組み込まれていた。圧倒されたファンからの大きな拍手の中、PAZZが「今日はお店お休みです」と述べ、メンバーは再びステージを去っていった。
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PAZZ<ds>

本来はここで終了の予定だったが、フロアが明るくなってもファンの拍手は鳴り止む気配はなく、メンバーは根負けといった感じで、そして嬉しそうに再びステージに姿を現す。「元気やね~!」と藤田はファンへ言いながら、感謝していますといった感じ。そしてこの日、真のアンコールとなったのは初期の代表曲“Death to Wimp! ”。この名曲で2時間を超えるDOOMの濃密な世界が終了し、ファンは再び現実の世界へと戻っていった。藤田はそんなファンに「ありがとう。また会いましょう、元気で、良いお年を!」という言葉で送り出した。
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2018年12月15日@新代田FEVER
SETLIST
01. Rocking Russian
02. Complicated Mind
03. Fall, Rise and...
04. Killing Field
05. Fence and Barricade
06. Slave of Heaven
07. Death of False Rock!
08. Painted Face
09. War Daddy
10. The Folly and Splice
11. No/Re:MORSE
12. Freeze~Introduce 99s Life... Getting Lies(SE)
13. All Your Fears
14. Still Can't the Dead
15. Those Who Race Toward Death
16. 水葬
17. The Stupid Man
18. Revenge and Dirty Tricks

Encore 1
19. Bad Priest
20. Body No Body
21. Last Stand to Hell
22. Why!?~I'm Your Junky Doll

Encore 2
23. Death to Wimp!


TEXT by 別府“VEPPY”伸朗
PHOTO by Miki Matsushima