SOLITUDE インタビュー

2015年10月24日 更新 インタビュー
SOLITUDE インタビュー
記事公開日:2015/07/15

2015年6月17日、最新作「REACH FOR THE SKY」をリリースしたSOLITUDE。MAD大内氏(元ANTHEM)加入後初であり、前作から五年半振りとなる本作、よりヘヴィメタルの直球ど真ん中な作風、ここ何年かの充実した活動によって培った自信と力を見事に封じ込めた快作に仕上がっている。最新作の話を中心に、メンバーに色々と聞いてみた。
SOLITUDE

SOLITUDE

L to R
Akira Sugiuchi (Vocals), Toru Nishida (Bass),
Shingo Ida (Guitars), Takamasa "Mad" Ohuchi (Drums)

SOLITUDE:杉内哲(Vo)/西田亨(B)/大内“MAD”貴雅(Ds)
インタビュアー:多田 進

僕らが好きだったヘヴィメタルってこんなのだったなって思い、初期衝動のようなものが呼び起された

--- 今日は宜しくお願いします。まず、前作「BRAVE THE STORM」から五年半振りとなる本作「REACH FOR THE SKY」をリリースしたわけですが、前作から五年半経ってリリースした理由を聞かせていただけますか。


杉内:時間について特にこれといった理由は無いですね。僕達のような年齢になってくると、曲作りや音楽の事ばかりを考えている時間が無限にあるわけではなく、それ以外にもメンバー各自の生活や考え方がある中で、いいものを作ろうとなると必然的に時間が掛かるわけで。でも、実際にはレコーディングを始めてから約一年でリリースに漕ぎつけたわけで、実質、その前の約四年間は(現メンバーになってからの)バンドとしての音を固めてましたね。MADのドラムはメロディを奏でるようにリズムを叩くスタイルなので、そこに僕達が合わせていくのに時間が掛かったのもあるし、じっくりといいものを作ろうという気持ちが強かっただけで、別に意識的に時間を掛けたつもりはなくて、気が付いたら、それだけの歳月が経ったというだけの話。それだけです。


--- 私的には1stの「VIRTUAL IMAGE」から「BRAVE THE STORM」に至るまでの九年、あの時は少々モヤモヤした感があって待たされた感が強かったんですよ。その後、MADさんが加入して約五年半、あまり待たされた感はなかったのですが、現在のメンバーでじっくりと腰を落ち着けて作りたかったのか、それとも機が熟したから制作に入ったのかなとも思いまして。


杉内:それは特に意識はしてないよね。楽曲は作っては壊し、作っては壊しの二十曲ぐらいから選定した八曲なので、それで時間が経ったというだけの事。あと正直、ライヴのフィーリングをそれぞれの楽曲に反映させたかったというのもあるんだけど、新曲を全部ライヴでプレイし、お客さんのリアクションを見て、グルーヴ感を含めもっと考えたりする時間も無かったので、そこは長年の経験で予測してレコーディングに突入したという感じですかね。


--- 「REACH FOR THE SKY」の制作にあたり、意識した点等を各メンバーさんに聞いてみたいと思うのですが。


大内:意識は無意識ですね(笑)。さっきも杉さんが言ってたけど、俺はメタルドラマーとしては少し特殊なので、(メンバーが)面を食らった部分があると思うんですよ。僕が加入して五年半、(加入する前の)今までの楽曲をライヴでプレイしてたわけだけど、(今までとは違う人が叩いていたものだから)それはそれで大変で、それを自分のものにするのに時間が掛かってて。ただ、今回のアルバムの曲に関しては完璧に俺のものだから、スタジオで一からリズムの感じを作っていくのとか全部自分で出来たので、素直に叩けるというか。俺はこういうメタルが一番好きで。元々、ANTHEMというバンドにいたんですけどね(笑)。知ってるかどうかは分かんないですけど(笑)。そこでは初期は割と速い曲なんかもあったんですけど、どんどんスローダウンしていくような傾向がありまして。だから、このアルバムでのテイストが自分にとっては素直に、一番ストレス無く出来るヘヴィメタル。こういうタイプの楽曲を用意してもらったという事で無意識っていう事ですね。バンドのアンサンブルの準備というのは、五年半掛けて出来ているので、特に何も考えず、頭よりも体で作った感じがあります。非常に精神衛生上宜しい職場でございます(笑)。


西田:僕はですね、昨日の自分よりも今日の自分は半歩でもいいから前進したいって常々そう思ってるんですけど、今作も前作よりさらに比べものにならないくらい進化した自分が出せればいいなっていう気持ちで挑みましたね。それと、前作をリリースした後、ENFORCERやSKULL FISTといった海外の若いバンドと一緒にツアーを回る機会があって、若い連中のパワーとか色々と感じるものがあったんですよ。そういう刺激もあって、今回はもっともっとパワーアップ、進化しなければならないっていう気持ちになって。音の面、リズムの面、もう一回見直さなきゃって思い、大内さんにいっぱい鍛えてもらって、個人練習も入ったりもしたんですよね。音も前作は統一の音で録音しちゃったんですけども、今作では全曲音を変えて。僕の録音って、ドラム、ギター、ベースの順番で、バックの中では基本的に最後なんですよ。エンジニアと杉さんと僕の三人でディスカッションしながら、最終的にいい音を選んで録音したという感じで、ホント音作りは時間掛けましたよ。逆に録音している時間のほうが短いぐらいでしたね。


杉内:結局、クオリティを上げようと思うと、音作りから全て時間を掛けなければならないんですよね。だから、変な話、レコーディングに時間を掛けられないバンドっていっぱいいますけど、僕達はそうではなくて、恵まれた条件でここまでのアルバムが作れたというのがありますよね。(質問の内容は)意気込みでしたっけ。僕はさっき西が言ったようにENFORCERやSKULL FISTといった80年代を意識したような若いバンドがどんどん出てきているのを見て、尚且つ一緒にライヴをやったりして、僕らが好きだったヘヴィメタルってこんなのだったなって思い、初期衝動のようなものが呼び起された感覚があった。今の音楽ってカテゴライズ化され過ぎちゃって、やれスラッシュメタルだ、やれデスメタルだって、もうそれしか聴かないって人が増えてきてて。


--- そう感じるところは確かにありますね。


杉内:僕らはSOLITUDEという看板でやってきてますが、一般的には王道、正統派ヘヴィメタルって言われてるんですけれども、その王道とか正統派ヘヴィメタルって(言われるカテゴライズの音楽は)、この日本では全く人気が無いんですよ。それは僕らがライヴをやってても痛感する事で。ですけど、海外では王道や正統派ヘヴィメタル、80年代を意識したような若いバンドが世界中で数え切れないぐらいどんどん出てきているのに、そういった土壌が日本には無いんですよね。でも、それって、僕らにも責任があるんじゃないかなってすごく感じてて、ならば、僕らがそういったバンドになお一層ならなければならないし、若い人達に「カッコいい!」と思わせるような音楽を作らなければならない。これは凄く感じてた事。尚且つ、例えばスピードのある音楽しか聴けない人っていますよね。そうなると、スラッシュメタルとか速いものになっていくんですけども、でも、元々、ヘヴィメタルって破壊的なパワーとスピードを持っていたはずなんですよ。それがスラッシュメタルやブラストビートの速さとはちょっと違うんですけど、でも、僕らの出せる音楽でスピード感のあるものを出したらどうなるかなって思って、楽曲を作っていった結果、こういった楽曲になった。そこは凄く意識しましたね。


結局、簡単に手に入れたものは、簡単に失ってしまう、“Easy Come Easy Go”

--- 今作の収録曲ですが、よりベーシックなヘヴィメタルになりましたね。


杉内:そうですね。結局、僕らは今回に限ったわけじゃないんですけど、自分達が若いバンドと同じ事をやろうとは全く思ってなくて、これまでに通ってきた音楽のルーツをそのままストレートに出しているだけなんですよ。そうでなければ自分達の存在意義が無いし、やってきた事に対しての胸を張るところも無いので、とにかくルーツをストレートに出して、自分達の作りたい音楽を作りたい音で作ったのが今回のアルバムであり、僕らが聴きたい音楽を体現した結果の産物だという事が一番ですね。


--- 今作は閉鎖した映画館に機材を持ち込んでのレコーディングという形でしたが、このような方法を選択した理由を教えていただけますか。(先の映画館は改装され、現在は「Tapestry Recording Studio / タペストリー・レコーディング・スタジオ」として生まれ変わった)


杉内:もう、これは意地ですね。デジタルが出てきてからというもの、デジタルの恩恵というのは僕らも受けてはいるんですけれど、そのデジタルになり過ぎちゃって、何でもモノがイージーに作られていく世の中、それが何か嫌だなっていうのはメンバーといつも話してて。結局、簡単に手に入れたものは、簡単に失ってしまう、“Easy Come Easy Go”って言ってるんですけれど、そういうものが多くて。デジタルになって、尚且つCDというものが出てきてから、誰もがミュージシャン、誰もが作詞・作曲家になって、作品という形で出せるようになった。しかも、プレス代とかも安い。だから、「プレス代とかが安いのに、何でこんな高い値段で売ってるの?」って、どんなアーティストだって言われるわけですよ。でも、本当に力を入れて、時間を費やして作ったものと、そうではないものとは明らかに違うはずなのに、聴く側は(制作の背景等を知らずに)全部一緒くたに見て、これもあれも一緒だよねって、モノの良し悪しを判断出来ない人達が増えたと思うんですよ。


--- 例えばペン一つをとっても、100円ショップで売っているものと、そうではないものの差ってありますからね。


杉内:そう。100円ショップで売っているものと、国内のメーカーの職人が丹精込めて作ったものとでは、書き味の一つをとっても違うように、それと同じように、もの作りの中には言い方が悪いかもしれませんが、似ていても全然違うモノを作る人とモノを後世に残し影響を与え続ける人との境目があったはずなんですよ。いつの間にかその境目がどんどん無くなり、そういった中にアンダーグラウンドやメジャーといったシーンも存在することになり、しまいにはアンダーグラウンドがカッコいい、メジャーはダメだという連中が出てくるようになって。僕らSOLITUDEはメジャーだとは思った事が無いけど、でも、別にアンダーグラウンドだと思った事も無くて、ただ、やりたい事をやっているだけ。それって70年代や80年代、NWOBHMのバンドが出てきた時、更に遡ればパンクもそうなんですけど、当初はメジャーのレコード会社が自分達の音を取り扱ってくれないから、自主製作の7’EPを制作して、スーパーマーケットで売ろうよって発想で始まったはずなのに、いつの間にかアンダーグラウンドである事が美徳であり、悪い言い方をすれば隠れ蓑的になっちゃってて、アンダーグラウンドだから音が悪くてもいいんだよ!だとか、そんな考えの人達が増えてきているように感じられて、それはおかしいんじゃないかなって思うようになったんですよね。僕らみたく70年代やNWOBHMを体験している身としては、あの当時アンダーグラウンドのフィールドにいた連中って、本当はメジャーに行きたかったけど、行けなかった連中がそう言われただけであって、最初からアンダーグラウンドを目指していたはずではないでしょと。もしかしたら、僕の考え方とは違って、元々アンダーグラウンドを目指してるバンドもいるのかもしれない。だけど、それじゃないんだなっていうのがあって、そういう人達に僕らのメジャーでもアンダーグラウンドでもなく、そういう意識をしてないものを見せたかった。あと、バンドの活動のスタンスで感じてた事なんですが、SOLITUDEってメジャーでもアンダーグラウンドでもないから、中途半端な立ち位置のバンドだと思われるように感じてたんですよ。だけど、僕らは自分達でいい作品を作って、いいプレイをするっていうのが原点なので、別にさっきのような事を思われてるんだったら、もっとそれを研ぎ澄ませていかなければ、皆が納得してくれないんじゃないのっていう意地みたいなものがありましたね。レコーディング方法もそうですし、曲作りも、ジャケットも全部意地ですよ。


--- これまで以上に力が入った作品だと感じましたね。


杉内:今のシーンに対して、かなりの危機感を感じてますね。確かにカッコ良ければ関係ないんですけどね!間口が広くなるのも結構。


--- 先の話にも出てきましたが、アンダーグラウンドをよしとするのが美徳だというのも変な話だと思います。


大内:楽になっちゃダメなんですよね。カテゴライズに入ると、とりあえず安心するじゃん。それがサムいなあって思いますけどね。


--- 精根込めて作ったものなんだから、それを一人でも多くの人に聴いてもらってこそ価値があると思うんですよね。


杉内:そうそう。より多くの人に聴いてもらうという事をするには、勿論いい曲であるべきだし、更にはいい音で録音すべきであって、それに対して色々とプロモーションもしなければならないのに、「君達は何の為にやってるの?」って思うようなバンドが増え、それをよしとするファンも増えて、お互いが仲良し小好しみたいな感じになっちゃってて、僕としては首を傾げるようなところなんですよ。生意気言ってしまえば、そういう事は口で言っても、何を言っても通じないので、作品でぶつけるしかないんですよね。作品はやっぱり、これは常日頃思っている事なんですけれども、SACRIFICEの時もだし、(MADは)ANTHEMでもそうだったんだろうけど、年代を超えて理解してもらえる作品を作って、もしかしたら、僕らが死んでからも聴いてくれる人はいるわけじゃないですか。そういった作品を作る事という事は音楽家としての使命、醍醐味なので、たとえ今の人達に納得してもらえなかったとしても、何十年か後に「このアルバムいいね!」、「このアルバム凄いね!」、「このバンドよかったよね!」と言われるようなものを残したいという気持ち、それって自然な事だと思うんだよね。なのに、それすらも考えることが出来ないようなバンドが増えた。変な話、1800円で売ってるCDがあったとして、これが一日で終わったようなレコーディング、まぁ、一日でも二日でもいいですよ、一発で録音してもカッコいいバンドはいますから、ちゃんとしたものを作れて、ちゃんとしたクオリティを保ってさえいればね。なのに、「メジャーのCDはこんなに高いの?」とか言って、自分達は準備もロクにせず「一日でレコーディング終わりました」、「CDのプレスが上がってきました!」って、全然、モノの作り方が違うよなって。でも、そうじゃないんですよね。僕らの時代って、やはりアナログ体験者なので、アナログとかヴァイナルとかって選ばれしものしか作れなかったんですよ。その基本は変わってはいけないと思うんですよね。


--- 今作の曲順はいい流れで並んでると感じましたが、そこもやはり拘った部分ですか。


杉内:曲順は全部計算し考えてますよ。長年、ヘヴィメタルを聴いてるんで(笑)。前作の「BRAVE THE STORM」は最初ドラマチックに始まり、後半はヘヴィに終わる構成だったんですが、その中にもインストは必ず入れてるんですよ。それって、僕らはIRON MAIDENとかを聴いて育ったっていうのがかなりあって、“Transylvania”や“The Ides Of March”みたいなインスト、そういったものは必ず入れたいっていうのがあって。あと、四十分ぐらいの長さに拘ったのも、自分達がアナログ世代だというのもあるけど、色々な音楽を聴いてて、人間の集中して聴ける限界って、たぶん、そのぐらいだと思うんですよね。実際に向かい合って聴ける時間、それがボーナストラックが増えたりとかして、収録時間が一時間を超えると、そんなに曲数を入れなくてもいいのになって思う事があるんですよ。今作の「REACH FOR THE SKY」に関しては、A面、B面を意識して分けた構成にしてて、アナログで考えると“Escape For The Crime”がB面の一曲目になるような形。で、レコーディング当初は一曲目の“Venom’s Angel”は出来てなかったんですね。まずは他の曲でアルバムを何とか作ろうって、皆で考えていたんですけれども、アルバムの構成や曲順を考えていた時に、やはりヘヴィメタルのアルバムって掴みが重要ですから、一曲目、二曲目が重要なので、もうちょいガツンとくる曲が欲しいなって思って、最後に作ったのが“Venom’s Angel”で、今作の最後はドラマチックに終わる“December”はフェードアウトで終わろうって決めてたんです。


--- それと、今作での杉内さんの歌ですが、これまで以上にメロディを意識した歌を聴かせてくれるようになったと感じました。


杉内:ありがとうございます。年の功でやっとここまできました(笑)。


大内:皆言いますね。前作もメロディアスだと思うんだけどね。印象かな?


--- 印象もありかですけど、歌によりメリハリが付きましたよね。


大内:俺は元々杉さんの歌、声が大好きなんですが、今作では魅力はそのままに、より裾野が広がったように感じましたね。(レコーディングに入るまで)俺らは殆どの曲の歌メロを知らなかったですからね。最初にインストを録音して、仮歌とかもスタジオで結構歌ってはいたんだけれども、出来上がったものはそれとは全然違うの。前のアルバムとかを聴くと、歌メロのフックが満載だったりするから、「カッコいい音楽を知ってる人は違うな」って思ってただけに、仮歌の時は「こんなもんか?杉さん」って思ったんだけど(笑)、やっぱり本人も納得してなかったようで、最後に出来上がったのを聴いて、「おぉー!やったぞ!」みたいな(笑)。


--- 今回のアルバムでそういう印象を抱いたのって、“Reach For The Sky”と“December”があったからだと思うんですよね。


杉内:そうですかね。今作の楽曲っていうのは、とにかくパンチ重視で作ってるんですよ。今までは楽曲を作る段階で、僕と井田が色々とアイディアを出し合い、その段階でヴォーカルラインの大体の骨組みを作っていって、楽曲を仕上げるというやり方をしていたんですが、今作はヴォーカルラインが浮かばないけどカッコいい楽曲を残していって、最終的にヴォーカルはどうにかしようっていうのが大半だったんですね。他のメンバーがレコーディングに入った時にヴォーカルラインは殆ど出来てなかった。考え出さなきゃならないって、どんどんプレッシャーが掛かってくる中で、カッコいいオケがどんどん出来上がっていくわけですよ。これを生かすも殺すも僕次第だよねって。全く音楽を聴かない日もあれば、考えないようにした日もあったし、悩みに悩んで作り上げたと。僕はハイトーン系、自分よりも全然キーが高いヴォーカリストがどちらかと言えば好きなんで、今まではそっちの影を追ってしまうような感じだったんですけども、今回、自分のヴォーカルのレンジというのをちゃんと意識し、自分が歌えるレンジの中でどれだけメロディを作れて、どのような言葉を乗せていけるかっていうのを考えてやりましたね。他の人達はもっと前にそういう事に気が付くのかもしれないけど、僕はこの歳になって、やっとそれがやれた感じですかね。


--- ラストの“December”は特にそれを感じましたね。


杉内:“December”は今までやった事の無いタイプの楽曲で、これは僕の中では完全にバラード。ヘヴィメタルのバラードというのが僕は昔から大好きで、バラードの中でも明るい希望のバラードと苦しみのバラード、僕はどちらかと言えば後者のほうが好きなんですよね。僕はそういったものを歌いたかったし、そういったバラードが歌えるヴォーカリストになって、初めて一人前のヴォーカリストだと、幼少の頃からずっと思ってたんですよ。でも、こういう声しか持ってないので、これまではSACRIFICEとかではああいう歌い方しかしてこなかったんですが、歌詞の内容から全て、80年代のヘヴィメタルバンドが悲しい曲とか、人生の寂しさとかを歌っていても、カッコいい楽曲に乗ったりもしてますので、そういった事をやりたいなって思ってて、自然と作り上げたのが“December”ですね。メロディもあれしかなかったと思ってます。本作は“Reach For The Sky”と“December”があるから、最終的にヘヴィメタル度が更に増してると思うんですよね。ガツンとくる“Venom’s Angel”でスピーディかつヘヴィで攻めて、続いてファストな“Blow”、メロディアスな“Reach For The Sky”、ラストはズドンと“December”でドラマチックに落とす構成、全体的にはファストな楽曲が多い中、これはヘヴィメタルだよねって思わせるアルバムにしているのは、その二曲だと思います。


--- 本作のアートワークですが、前二作とは異なり、これぞヘヴィメタルと言わんばかりのジャケで攻めてきましたね。


杉内:さっきも言いましたけど、本作は意地の塊のアルバムなので、(ジャケで)ヘヴィメタルだって見る人が見て、これってメタル以外の何物でもないじゃん!って音が想像出来たとしても、音を聴いてみて更にビックリしてもらえればいいなって思ってたんで。過去作同様に鎖はありますが(笑)。


--- アルバムタイトルを「REACH FOR THE SKY」にした理由や歌詞に込められた意味や思い等を教えていただけますか。

杉内:アルバムの歌詞とかを読んでいただければ解るとは思うんですが、読んだ人がどのような意味にとってもらってもいいんですけど、ダブルミーニング、トリプルミーニングっていうか、色々な意味を含ませています。“Reach For The Sky”はあまり歌詞の内容とかをあれこれ説明しちゃうと面白くなくなるので、ざっと簡単に説明させてもらうと、苦しみからの脱却。そこには最終的に今の日本や世界の状況があったりとか、僕達の交友関係とか仲間や色々なもの、そういうのをひっくるめて表わしたかった。歌詞的には僕の人生観がかなり入ってますよ。



--- “Reach For The Sky”というタイトルもですが、歌詞にある“We are under the same sky”(俺達は同じ空の下にいる)という一節、杉内さんのSpecial Thanks欄にも載せているぐらいなので、この言葉に気持ちが込められているように感じたんですよ。


杉内:今の日本、更には世界間が抱えている状況もそうですし、僕達メタルキッズとしての繋がりもですが、そうじゃなかったとしても、個々のキーワードの単語になればいいなって思いますね。これといって決めつけている意味はないです。


今の日本のヘヴィメタルシーンに根付いているものがなかなか手強いというか。

--- 話は変わりまして、SOLITUDEは「JAPANESE ASSAULT FEST」(SPIRITUAL BEAST PRESENTS)といったフェス、異色な組み合わせによる「BEASTS OF WAR」と、こういったイベントを組もうと思った切っ掛けは何だったんでしょうか。


杉内:多田さんはご存知の通り、僕は「HEAVY LINK」(2000年~2002年にやっていたSOLITUDE主催のイベント)もやってましたが、あの時は「HEAVY LINK」みたいなイベントが必要だったと思うんですよ。カテゴライズがどんどん細分化されていって、拡散し過ぎて皆が追っかけられなかった時代。いいバンドがいるのに追いつけない時代。インターネットも今みたく発達してなくて、情報も収集しにくかった時代。(細分化されたカテゴライズの中から)いいバンドを集めて「HEAVY LINK」をやったんですが、拘って始めたイベントだっただけに、イベントは長く続ける事が大事だと頭の中では解ってはいても、毎回同じ事はやりたくないし、毎回同じ面子でもやりたくない。結局、「HEAVY LINK」は三回で終わってしまったんですが、こないだまでやっていた「BEASTS OF WAR」も似たような気持ちで始めたもので、「HEAVY LINK」を現代のシーンに合わせた感じと思ってくれればいいんだけど、さっきも言ったようにアンダーグラウンドやメジャーといったカテゴライズに関係なく、とにかくいいバンドが集まれるいいイベント、お互いをリスペクトしてやれるガチンコなイベントが必要だと思ったんですよ。だから、それが(「BEASTS OF WAR」を)始めた理由なんですけど、ガチンコ出来るようなバンドももう残念ながらあまりいないかなと。


--- VIGILANTEやCOFFINSとの対バンとか、出演バンドの振り幅が広かったですよね。


杉内:そういう組み合わせでイベントをやる人、あまりいなかったですからね。そういった組み合わせでイベント組んで、来てくれた人が喜んでくれて、それで各バンドを応援してくれれば、それはそれでもっと幅広い層になってくれればと思ってやってたんですけれども、それがどのぐらいの結果を生んだのかはわかりませんが、やってみて感じたのは今の日本のヘヴィメタルシーンに根付いているものがなかなか手強いというか。「JAPANESE ASSAULT FEST」は国内のバンドと海外のバンドをぶつけるイベントなんですが、海外のバンドも別にビッグなバンドじゃなくても、いいバンドはたくさんいるわけじゃないですか。海外のバンドの有名どころだから客が集まる、有名どころじゃないから行かない、しかも、東京、日本で毎日のようにこれだけイベントがあると、財布の紐も固くなって、見逃したり、見送らざるえないライヴも出てきますよね。その中でずっと感じてるのは、日本って若い新人バンドや国内のバンドに着目しない人が多いんですよ。特にメタルファン!昔はよかったとか、例えばJUDAS PRIESTやベテランバンドとかがライヴをやると、どこから出てきたのかってぐらい人が集まるのに、普段のライヴにはいない!どこに隠れててるのって思いたくもなるけど、その割にはCDといった音源は売れてないし、音楽シーンも活気づいてない。どうなってるの?でも、さっきも言いましたが、ヨーロッパでは若いバンドがたくさん出てきて、若いバンドが力を合わせ、例えば、昔のやり方を今リアレンジしたらこうなるんじゃないかっていう方法等でやり始めて、シーンが活性化され、もっと面白くなっているのに、日本って全くそういうのが無いんですよね。そういうのに凄く疑問を感じてたから、じゃあ自身のレーベルの中でもいいバンドはいるし、レーベルを超えてもいいバンドはいるんだから、国内外問わずベテランや若手のバンドも交えて、イベントを始めてみようじゃないかって思って始めたのが「JAPANESE ASSAULT FEST」。


--- いいイベントだと思いますよ。あの値段でメインアクト以外にも普段は観られなさそうなバンドも観られるのって、個人的には有難い話ですよ。


杉内:いいライヴを観ると、「ああ、よかったな!」って思いますよね。見に来なかった人達は「え?そんなの来てたの?」って感じで、プロモーションの問題もあるんだろうけど、全くアンテナを張っていない人達が山のようにいますよね。


--- 事情はそれぞれあるとはいえ、正直勿体無い話だとは思うんですよ。情報が手にし易いのだから、自分から掘って探し出してもいいとは思うし、自分だって掘っていって解った事も多々ありますからね。


杉内:音楽に限らず、日本はトレンド志向っていうのがすごくあって、大きなところやってるからいいとか、お客さんがたくさん集まっているからいいとか、そういう発想が多いんですよね。本当はそうじゃないはずなんですよ。さっきも言ったように、売れようと売れなかろうと、とにかくいい楽曲を作ったりとか、いい演奏をしてるバンドにはリスペクトすべきだし、残っていくべきなんですよね。それは何においても一緒なはずなんですよ。でも、日本って、こういう言い方をするのもなんですけど、残念ながら土台が出来てないっていうか。


自分達が変わろうとさえすれば変われるという事なんですよ。どのバンドでもそれが可能だという事。

--- 今後の予定や展望等を教えていただけますか。


杉内:八月四日の名古屋を皮切りに、北は北海道、南は沖縄まで回る全国ツアーが始まります。SOLITUDE史上最多のツアーをする予定です。ツアーの日程をこれだけガツンって出すっていうのは、最初から考えていた事で、誘われたからやりますみたいな感じで小出しに出していくライヴをやるんじゃなくて、もうガッツリとレコ発ツアー。しかも、東京、名古屋、大阪といった主要都市だけやって終わりとかいうんじゃなくて、全国各地を回るツアーをやる事で、僕らが何をやりたいのかを皆に解ってほしいというのがあったし、今回のアルバムには自信を持っているので、どこに行ってもファンの人達と触れ合えればいいなと。今決まっているのは来年の一月の沖縄までですが、まだ増える予定です。二月ぐらいまではツアーをして、来年の三月以降はヨーロッパも含め海外でのツアーが出来たらいいですね。これも今、海外リリースを含め話を進めているところです。さっきから言っている事ですが、これも意地です。今回のこのツアー、僕らは別に苦じゃないですよ。だけど僕らより若いバンドがシーンには多いのに、その人達は何でこういったツアーを今やらないのか。そういう事も含め、少しでもいいから考えてもらえるきっかけになったらいいですよね。


--- ホント色々と回りますね。主要都市に足を運べない地方のファンは喜ぶと思いますよ。


杉内:本当は平日も含めた出ずっぱりのツアーにしたかったんですよ。ただ、僕らの知名度の問題と、80年代や90年代初期の状況とは変わってて、ライヴハウス側としても、週末のほうが集客も出来るし、いい感じで出来るのでは?という話も結構あったので、今回はこういったブッキングになりました。とにかく今回は今まで行かなかったところを含め回ります!


--- 各地でサポートをつけたりはするんですか。


杉内:一部は決め打ちしてお願いしているバンドもありますが、基本的には郷に入れば郷に従えで。ただ、メタルのシーンって、皆で支え合うのがあって出来ているものだと思うんで、ライヴハウスに支えられてたり、サポートしてくれるバンドに支えられてたり、ブッキングにあたって協力してくれたバンドのサポートを受けたりとか、そういうのが大事だから、これからも上手くそれらの協力関係を保ってやっていければと思っているんですけどね。今回、これだけ手応えを感じているので、この手応えを感じている間に、次はもっとタイミングを早めてレコーディングをしたいなって思ってます。しかも、これ以上のものを(作りたいですね)。


--- SOLITUDEはバンドとして、今が一番乗ってきている時期だと思うんですよね。


杉内:SOLITUDEをスタートして十五年目の今が乗ってるって、遅いよね(笑)。でも、逆に十五年目の今が一番乗ってるって言われるのは嬉しい事ではありますよね。年月が経てば、ペースダウン、パワーダウンしていくバンドが圧倒的に多いわけですから。僕達の中では演奏能力、楽曲のクオリティも上がってきているし、考え方もポジティブな方向へといっているとは思うんで、そういった点ではそう思ってもらえるのは嬉しいよね。


大内:そういう流れなのかなって思いますよね。録音したスタジオなんかにしても、そういう場所が幸運にも見つかったりとかさ。


杉内:そうだね。僕達、プロユーズのスタジオでの録音の経験も多々ありますけど、今回の録音はそれ以上の成果が得られましたね。普段、スタジオでは出来ない事も出来たし、アイディアですよね。それと、話が戻っちゃうかもしれないけど、今回、意気込みの中で、自分達が変わらなければならないっていう気持ちが強かったんですよ。だから、ターニングポイントになるべきアルバムを作ろうとずっと思ってて、そうすれば変われるんじゃないかと。実際にアルバムを作って、アートワークを見せて、プロモーションをしてて、ツアーを発表したけど、たぶん、周りの人達は「今回のSOLITUDE、これまでと違うんじゃないの?」って思ってると思うんですよね。という事は、自分達が変わろうとさえすれば変われるという事なんですよ。それは、どのバンドでもそれが可能だという事なんですよ。だから、どのバンドも変われるんだから変わろうと思う事をやってよ!そして、皆でシーンも変えようよって思いますよね。


--- 最後になりますが、読者の方々にメッセージをお願いします。


大内:俺は(SOLITUDEに加入してから)初めての音源なので、それを楽しんでいただきたいという事と、俺はアルバムを乗り物だと思ってるんだけど、いい乗り物が出来たのだから、それを乗り回してほしいですね。あと、これを生で演奏するっていうのが証


西田:パワーアップした作品を皆に聴かせる事が出来てると思います。これからツアーを回りますので、皆が楽しんでもらえるようなライヴを各地でしたいと思いますね。次作に向けても気合入れて、更にパワーアップしたいと思います。


杉内:ますます嫌われるバンドになろうかと思ってます(笑)。ますます言いたい事を言って、ますます(周りの人が)考え付かないような事をやってのける存在でいたいなって思ってて。結局、こういう事を公言していくと、自分にどんどん発破をかけていくのと一緒で、必然的に追い込まれていくんですよ。言ったらやらなきゃならないから、そういった責任もあるし、今のSOLITUDEはそういった事をやれる状況でもあるので、いい状況にあると思います。ツアーもガッツリやるので、一人でも多くの人に観てもらえればと思うし、アルバムも最近の聴けば聴くほど疲れる音じゃなくて、聴けば聴くほど耳に馴染んでいく音なので、出来るだけ何度でも聴いてほしいなと思います。それで皆に応援してもらえればと思ってます。



--- どうもありがとうございました。


SOLITUDE 最新音源情報

 (3006)

アーティスト:SOLITUDE
タイトル:REACH FOR THE SKY
レーベル:SPIRITUAL BEAST
発売日:2015年6月17日(水)
品番:IUCP-16220
フォーマット: CD
価格:2,571円+税

<収録曲>
01. Venom's Angel
02. Blow
03. Reach For The Sky
04. Don't Need Mercy
05. Escape For The Crime
06. You Got My Mind
07. On The Edge Of Sorrow
08. December

SOLITUDE - Reach For The Sky [teaser] - YouTube

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SOLITUDE "REACH FOR THE SKY JAPAN TOUR"

▼2015年
8月4日(火)愛知・名古屋 ell.SIZE(vs DEMOLITION)
8月8日(土)新潟・GOLDENPIGS BLACK
8月13日(木)大阪・南堀江 SOCORE FACTORY
8月15日(土)広島・スマトラタイガー
8月16日(日)広島・呉・ケラウスランブラ
9月6日(日)山梨・甲府 KAZOO HALL
9月19日(土)東京・渋谷 サイクロン(ONE-MAN SHOW)
10月2日(金)宮城・仙台 BIRDLAND
10月3日(土)福島・Iwaki SONIC
10月24日(土)北海道・札幌 カウンターアクション
10月25日(日)北海道・旭川 CASINO DRIVE
11月14日(土)鹿児島・Speed King
11月15日(日)福岡・博多 HEART BEAT
11月23日(月)石川・金沢 vanvanV4
11月29日(日)岐阜・柳ヶ瀬 Ants

▼2016年
1月23日(土)沖縄・宜野湾 HUMAN STAGE
1月24日(日)沖縄・宜野湾 HUMAN STAGE