ANTHEMインタビュー

2015年10月30日 更新 インタビュー
ANTHEMインタビュー
記事公開日:2014/11/01

 2001年に再結成して以降も、精力的な活動を通して、孤高の存在感を知らしめてきたANTHEM。だからこそ、坂本英三(vo)の脱退がアナウンスされたのは衝撃的だったが、後任に迎えられたのは、何と同じくかつてシンガーを務めていた森川之雄(vo)だった。そして、近年サポート参加していた田丸勇(ds)も正式加入。文字通りに新たな歴史の始まりである。
 現ラインナップによる第一弾アルバム『ABSOLUTE WORLD』も去る10月22日にリリースされ、国内チャート初登場16位という過去最高位を記録。この事実にしても、そのまま新生ANTHEMに対する高い期待感の表れと解釈すべきものだろう。改めて徹頭徹尾のANTHEM流ヘヴィ・メタルを高らかに叩き付けた彼らは何を考え、どこへ向かおうとしているのか。同作を引っ提げた全国ツアーに向けたリハーサルが本格化する中、バンドを率いる柴田直人(b)に話を訊いた。
ANTHEM

ANTHEM

柴田直人 (Ba.)、清水昭男 (Gt.)、森川之雄 (Vo.)、田丸勇 (Dr.)

ANTHEM:柴田直人
インタビュアー:土屋京輔

僕の中では、新たに誰かを入れて何かをやるというよりも、やっぱり、“森川之雄”というのが一つあってね。

--- すでにあちこちで話をされていると思いますが、昨今のANTHEMに関する話題として、何しろ外せないのはヴォーカルの交代劇ですよね。英三さんの脱退自体もファンには寝耳に水だったと思いますし、さらに森川さんの電撃復帰に驚いた人も少なくなかったと思うんですよ。


柴田:本間大嗣、坂本英三、清水昭男、柴田直人という、再結成メンバーで長い間やってくる中で、たとえば、本間くんが身体的な理由で1年間休まざるを得なくなったり、いろんなことを4人で乗り越えながらきてはいるんですけど、バンドって、コンビネーションだとか人間性がどうのこうのではなくて、ものづくりをする集合体として反応し合えなくなると、どんなに相手のことが好きだとしても、一緒にいる意味を失うんですよ。当然、そうなってくると、やりたいことも各自いろいろ変わってきたりするわけで、それを強引に打ち消す事など誰にも出来ない。もちろん、ANTHEMにはANTHEMとして行きたい方向みたいなものも出てくる。それを純粋に達成するためにはどうすればいいのか。それはここまで毎日考えてきたことですけど、僕が胃ガンを患った(2012年12月に発覚し、その後、手術・療養のため約半年間活動を休止)のがキッカケで……それを個人的にすごくリアルに考えるようになったんですよね。


--- 今、自分は何をすべきなのかと。


柴田:そう。自分は何をやりたいのか、何をやるためにANTHEMは存在するのかというようなことをね。それで、やっぱりドラマーは代わらざるを得ないのかなとか……例えば歌う人間と曲を作る人間というのは、コンビネーションは良くなければいけない、僕らはプロの作曲家とプロの歌手という、芸能チックな関係ではないと思っているので。ヘタすると、私生活すらもほとんど知り合うみたいな間柄で10数年間きたわけですからね。だから一緒にいても新しいものはもう作れないかな、という感覚をお互いに持っていることに気がついたんでしょう。次にどうしようかという話を何回もしながらも、なかなか前に進まない。別に険悪じゃないんだけど、だったらもう別々の道に行くべきだろうなと。結局は結論づけたのが、去年のもう年末に近かったんで、急転直下な感じですよ。
 ただ、僕の中では、新たに誰かを入れて何かをやるというよりも、やっぱり、“森川之雄”というのが一つあってね。かつて、彼ともすべてをやり尽くしてバンドが解散したわけではないんですよ。時代背景であったり、そのときの音楽の流行があったり、あとは多分僕たちが若かったせいもあったりして、そこはずっと引っかかってる部分だったんですよ。だから、森川にすぐに声をかけたんですね。自分がリーダーでバンド(THE POWERNUDE)をやっているのはわかるんだけど、僕たちが音楽をもう一度同じバンドで本気でやるとすると、多分、このチャンスが最後だろうと。だから今、ANTHEMで歌うことを真面目に考えてくれという話をしたんです。ずっとヘルプで叩いてくれていた田丸に関しては、彼がANTHEMに持ち込んでくれたものも結構あったので、そのまま正式メンバーになってもらっていいんじゃないかなと。
 それで今のラインナップになったんだけど、もともとレコーディングはするつもりだったので、曲は去年の11月から作っていたんですよ。ただ、やっぱり歌う人間が代わるというのは凄いことですから、当然、その時点では何となくこれはOKかなと思っていたような曲も、いくつも捨てたりしてね。そうやって3月いっぱいまでは、ひたすら曲を作って、4月1日からレコーディングに入って。途中、7月に(新編成での初めての)ツアーがありましたけど、結局、マスタリングが終わったのが9月1日ですか。だから、10ヶ月間。でも、あっという間でしたね。長いか短いかといったら長いですよ。大変だったかどうかというと、100%大変だったんですけど(笑)、レコーディングとはそんなものですからね。僕らにとっては当たり前の、またいつもの過程を踏んで、やっとCDができたという感じです。


--- ANTHEMの場合、これぐらいの時期にアルバムが出るぞという第一報がくると、それはあやしいんじゃないかと思わされますよね(笑)。


柴田:みんなそういうふうに言いますね、一ヶ月ずれ、二ヶ月ずれ(笑)。


--- いつも、それだけシビアな進め方をしているということなんですが、ANTHEMを知っている人は別に驚くことではないんですけどね。


柴田:そうですね。スタジオに入ってしまえば、どのバンドでも同じだと思うんですよ。ちょっとでも自分たちがいいと思えるものを作らないと、自信を持って出せないですから。たとえば、8小節の中でメロディを考えるにしても、「もっとこのほうがいいんじゃないのか?」っていう作業の延々繰り返しなので。まぁ、あっという間に終わるのはベースだけですよ。ベースは僕が弾いて、基本的には僕がジャッジするので。でも、今回はそのベースも、チューニングは合ってるんですけど、ギターと合わさったときに、倍音が気持ちよくなかったりして、何回も何回も弾き直したんですよ。ほとんどの曲を4回弾いた(笑)。それも、連続してじゃないんですよ。まず三日間ぐらいでベースを録る。そこからバッキング・ギターを入れていったときに、これはおかしいなぁって、その後にまたベースを録って(笑)。これで大丈夫なんじゃないかなぁと思って歌を録り始めると、いやぁ、やっぱり気になるなぁと、歌を中断してベースをまた録り始めて(笑)。さらにリード・ギターだとか、オーバー・ダビングをしていく中で、どんどんオケが厚くなっていくと、やっぱり気になってまたベースを録って。結局、機材と音作りの問題なんだけど、今はもう、できればベースは金輪際弾きたくないぐらい(笑)。


「ANTHEMだったらもう1回やりたいな」と思ってもらえるような仕事を僕はしたい

--- しかし、そういった大変な録音の過程がすべて終わり、ロイ・Zとミックスを進めるためにロサンゼルスに渡ったら……何もせずに帰国せざるを得ない状況になったんですよね。


柴田:10日間ぐらいの予定で、4日間で帰ってきたのかなぁ。彼の体調やプライベート等の問題です。とにかく作業が出来ない事がわかったんですよ。そこで(所属レコード会社の)ユニバーサルの担当A&Rに連絡をして、帰国して日本のチームでやり直したいから、直ちにリスケジュールすると伝えて。結局、リリース・デイトもまったくずらさないで、予定通りにリリースできることになって……。そこが一番感謝ですよね。担当してくれたのはビクター・スタジオの渡辺くんと高桑くんという二人のエンジニアなんだけど、それでもあのスタジオの空きが一つしかなくて、もう一つ別のスタジオも使うことになったんですね。だから、僕はその二つを毎日、車で往復しながら、そのうちもう一人のエンジニアも参加して三人に(笑)。もちろん充分な時間があったとは言えないけど、僕は満足だったし、ANTHEMに何かあったときに、「だったら僕らが」って集まってくれるスタッフがいるんだなと思うと、ホントにありがたいですよ。彼らがいなかったら、アルバムのリリースが遅れ、もうすぐ始まるツアーも全キャンセルになり、(デビュー30周年を迎える)来年の予定も全部狂うということになっていただろうし。
 LAにいたとき、日本のスタジオブッキングマネージャーとメールやスカイプでやりとりしてたんですけど、ここまでピンチになると、もう笑っちゃうんですよね(笑)。いろんなことを経験してきましたから、ちょっとやそっとのことじゃ驚かないですけど、さすがに今回はたまげました(笑)。ただ、追い詰められた時間の中での作業だったんですけど、以前、『HERALDIC DEVICE』(2011年)を作ったときも、アメリカのエンジニアとやりとりしていたものの上手くいかなくて、結局、あのアルバムは今回と同じチームがミックスをしてくれたんですよ。だから今回も、彼らのスケジュールさえ調整できれば、何とかなるだろうという思いがあったので……というふうには表向きには言ってますけど、実際はLAに居ながらハラハラしましたよ(笑)。


--- そりゃそうですよね。寝ている間などないとも思い込むでしょうし。


柴田:そう、時差もあるし今ガタガタしてもしょうがないと思っていても落ちつかない(笑)。1秒でも早く彼らと実際にコンタクトをとって、具体的に話を詰めないとって思うからね。


--- ただ、ANTHEMのために即座にチームが動いたというのは凄いことですよ。それを可能にしたのはANTHEMの歴史であり、周囲のスタッフがANTHEMに魅力を感じているからこそでしょうからね。


柴田:ありがたいですねぇ。サウンド・チームでも、照明のチームでも、誰でも、一所懸命やってくれる人たちの働きに見合うギャラをお支払いできてきたかどうかは甚だ自信はないんですけど(笑)、「ANTHEMだったらもう1回やりたいな」と思ってもらえるような仕事を僕はしたいし、そういうバンドでいたいんですよ。それには、自分たちが音楽を作るということに関して言えば、見栄や虚飾も排して、とにかく一所懸命にやるところを見ていただくしかない。僕らが仮にどれほど才能のあるミュージシャンであったとしても、ミックスやマスタリングはできないわけですから。それに特化したオーソリティの方たちが、ANTHEMの周りにいつもいる。そう思えるのが、どれだけ素敵なことか。今回は特に感謝してもしきれないですよ。


--- マスタリングが終わったときは、ホントに感無量という言葉しかなかったでしょうね。


柴田:僕ね、もう人目をはばからず泣いちゃうんじゃないかと思ってたんですよ。だけど、まったくそういうこともなく、「終わった~」「あぁ、よかった~」というだけなんですよ、もう放心状態でね(笑)。歌を録り終わったときもそう。飛び飛びだけど期間にすると二ヶ月ぐらい、歌を録っていたわけですよ。森川も調子がいいときも悪いときもあるし、ましてや途中にツアーが入ってたりもする。彼は喉も強いし、歌もびっくりするぐらい上手、みんなが思っている以上に凄い人なんですけど、とはいっても、ANTHEMでレコーディングするのは20数年ぶりですからね。だから、歌を録り終わったときには、抱きしめて泣くぐらいの感じなのかなぁって、冗談ながらもどこか本気で言ってたんですよ。でも、やっぱり、「終わったねぇ~」なんて言って、そこにあるオレンジジュースか何かをちびちび飲みながら、僕ら粛々と帰りましたね(笑)。
 みんなものすごく熱く、このアルバムに賭けてレコーディングしたんですけど、終わったら「よかったね」というだけで、そこに決してとどまらない。田丸も若いわりにはそういう感じでしたし、清水はいつもそうだし、森川もそうだし。前のラインナップで再結成して始めた時、彼らとやりたかったんですよ。別に僕が彼らを率いているつもりはなかったけど、以前は個々が優秀なプレイヤーでも、ANTHEMはこういうバンドだということを僕が高らかに掲げて彼らに常に言い続けていないと、ああいう感じにはならなかったと思います。だけど、今のラインナップって、年齢もさらにバラバラになったんですけど、全然そんなことが必要ないんです。僕も人のことにかまけてなくていい分、より一人のミュージシャンでいられるし、ライヴのときも、今までは自分で自分のスイッチを強引に入れないと、なかなかANTHEMの柴田直人みたいなところに届きにくかったんですけど、今は普通に楽屋にいて、なんやかんや話してて、着替えて、「あと5分です」と言われる頃にはもう自然とスイッチが入っている状態。だから、すごく心強いというか、一人一人が逞しいというかね。


ただ、やっていたいので、いきおい、必死に節制せざるを得ないんですよ(笑)。

--- 柴田さんも極めて自然にANTHEMの一員になれると。


柴田:そうですね。夏のツアーのときは、レコーディング中だからリハーサルも充分にはできないじゃないですか。でも、考えようによっては、このメンバーの素のポテンシャルを僕自身が味わうには最高のチャンスだったんですよ。要するに、とにかく節制して、リハーサルを積み上げて、積み上げてという状態じゃないわけですから。でも、そんな心配もいらないんだろうなぁと思うこと自体、自分でも驚いてたんですよ。実際にステージに立ってみたら、名古屋と大阪と川崎、3本とも全然違うタイプのライヴだったんですけど、どの会場でも……「この感じ!」っていうんですかね。僕が多分2011年頃からずーっと思っていたぼんやりしたものが、今年の夏の3本で、きっとこれなんだなぁと思えてきて。だから僕にとっては、このメンバー・チェンジは必要なことだった。バンドにとって正解だったと思います。他のメンバーも、気持ちよくライヴができたと言っていたし、お客さんも今のラインナップをものすごく歓迎してくれていましたし。もちろん、前任者じゃなきゃイヤだという人はいるでしょう。
でも、今はそこは追いかけてもしょうがないと思います。


--- 「そうは言っても一度は観てごらんよ」と言ってみたところで……。


柴田:(笑)。あの人の声が好き、ドラムが好きというのは誰でもありますよ。でもね、自分がやりたい人間とやりたい音楽をやることからしかANTHEMは始まれない。それをどう感じるかは、聴く人、観る人の自由ですよ。考えてみばANTHEMはアマチュア時代からずっとそうやってここまできたんですよね。時にはいろんなものに巻き込まれながら、ひょっとしたら人の顔色を窺ったりするようなこともあったのかもしれないですけど。そんなことも全部含めて2013年は僕にとってもANTHEMにとっても、ものすごく重要だった。結成したときと同じぐらい大事な年だったような気がするんですよ。病気というのも、いろんなことを考えるキッカケにはなりました。あ、今はもう大丈夫。
全然、(病気について)1秒も考えることないですよ(笑)。


--- 担当医師もおっしゃっていたそうですが、驚くほどの快復力でしたよね。2012年12月に発覚し、手術を経て、何とその半年後には、以前と何も変わらない姿で、『OzzFest Japan』(2013年5月=千葉・幕張メッセ)のステージに立っていた。


柴田:多少の不安はありましたけど、あの頃にはもうピンピンしてましたからね。


--- 柴田さんには、昔からステージに立つものとしてどうあるべきか、ありたいかという徹底した美学があるじゃないですか。


柴田:美学というようなカッコいいもんじゃないですよ。



--- いや、周りから見れば美学ですよ。


柴田:僕が思ったようにできない自分はイヤなんです。要するにANTHEMという名前で音楽をやっているうちは……ヘヴィ・メタルって、いろんなバンドがいますけど、基本的にはものすごくエネルギーを放出する音楽じゃないですか。そこを自分が肉体的に体現できなくなったら、全然やっていたいとは思わないですね。ただ、やっていたいので、いきおい、必死に節制せざるを得ないんですよ(笑)。ただそれだけです。もし60歳になったときに、「Immortal Bind」(2006年発表のアルバム『IMMORTAL』に収録)とかをステージでバンバンにやってたら、我ながら凄いと思いますよ(笑)。

--- 確かに凄いと思いますけど、それを本当にやっていそうな予感がしますからね。


柴田:それはわからないですけど(笑)、まぁ、お客さんにのせられますからね。こう見えても意外と単純なので、お客さんがすごく盛り上がって喜んでくれてる感じが、エネルギーの半分以上。あとはものづくりの魂というかね。どちらが欠けてもダメですもんね。


雄々しいというか、自信に満ちた、堂々とした響きじゃないですか、“ABSOLUTE WORLD”って

--- 今回のアルバムを聴く前に、果たして新生ANTHEMはどうなるんだと思った人も多いと思うんですよ。


柴田:それは多いでしょうね。僕の周りも「絶対大丈夫なんですか?」って、顔にはそう書いてありましたよ(笑)。このまま(メンバー・チェンジをせずに)行ったらいいんじゃないですかって。


--- それは逆に意外な気がしますけどね。「大丈夫」であるのは大前提で、その後にどう展開していくのかというほうに興味は向きましたし。


柴田:うん。僕は大丈夫だと思ってました。森川がすべてを賭けてもう一回ANTHEMで歌うと言ってくれたとき、すべてが始まったんですよ。彼はANTHEMのことをよく知っているから、中途半端な関わり方ではできないのもよくわかっている。すごく単純に考えると、森川之雄がANTHEMで歌うことで、『GYPSY WAYS』(1988年)や『HUNTING TIME』(1989年)、それから『DOMESTIC BOOTY』(1992年)などを想像した方も多いんだろうなと思いますけど、僕らはその続きをやるつもりはまったくなかったですよ。それに、誰が歌っても結局マンネリじゃんとかってことを言う人もいるようですよ(苦笑)。でも考えてみてほしいな。ただもっとやりたいヴォーカルがいるんだといってやって、音楽性が恐ろしく変わるわけがないじゃないですか(笑)。
 僕らはANTHEMを変えるためにメンバー・チェンジを敢行したんじゃないですよ。自分たちがよいと思うものをもっと作り続けるためですから。ANTHEMを応援してくれている大方のファンの方は、森川ANTHEMを自分なりに楽しんでくれてると思うんですけど、中には楽しめない人もいるでしょう。いろいろな価値観があるわけだからそんなことは当たり前だし構わない。変わる変わらないじゃなくて、好きか嫌いか、よいか悪いかでいいと思うけどね。
 僕らがやるべきはベストを尽くしてものづくりをすること。結局、好きだったら応援してください、嫌いだったらごめんなさいというだけなんですよ。いろんなインタビュアーの方と話をしても、みんなすごくアルバムをよく聴き込んでくれて、いい意味で、「ホントにANTHEMらしいですね」なんて言ってくれる。「ありがとう。これが今のANTHEMです。」ってことなんですね(笑)。


--- ええ(笑)。『ABSOLUTE WORLD』には、何ら変わりのないANTHEMがありますよ。


柴田:うん。そう思います。ただ僕の中では、森川が歌っているだけで全然違うんですけどね(笑)。たとえば、「Shine On」は1曲目に録ったんですけど、録り始めてすぐ、「やっぱ森川いいなぁ」と思いましたよ。こっちから投げたボールをすぐに打ち返してくるし、逆にいろんなものを投げかけてくる。レコーディングを進めながら、いろんなことを変えていったり作っていったりするのは、ここ十数年変わってないですけど、楽しかったんですよ。そんなやりとりが最初の段階からできていた。結果的には、それがアルバムのすべてに反映されているように、少なくとも僕には感じられるんです。以前のラインナップのときに、自分としては気に入っているアイデアなんだけど、ちょっと何か違うなぁと思って採り上げなかった曲も2~3つ入っているんですよ。森川だったら何とかするんじゃないかと思ってやってみたら……。


--- いろんなアイデアがどんどん出てきたわけですね。


柴田:そう。さっきみたいに「そっちのほうがいいかもな」「もうちょっとこんな感じ」とか言いながら、気がついたら終わってるんです。「Sailing」「Love Of Hell」はそうですね。この2曲は『BLACK EMPIRE』(2008年)の頃からあるアイデアなんですよ。曲の基本的な部分はできていて、前のラインナップのときにも、何回かリハーサルでやったこともあったんですけどピンとこなかった。「Destroy The Boredom」はだいぶ昔(2007年の夏のツアー)からライヴだけでやっている曲ですし。


--- 「Destroy The Boredom」が収録されたのは驚きましたね。


柴田:この曲も、実は『BLACK EMPIRE』のときに1回、レコーディングしかけたんですよ。だけど、途中でやめたんですね。なぜかと言われると難しいんですけど、僕の頭の中に鳴っているものと凄く違和感があって。でも、去年1年、田丸にサポートしてもらって、森川が入ってとなったときにできるような気がしたんですよ。そこで、メロディは残しながら歌詞と歌のリズムをちょっと変えて、こんな感じでやりたいんだけどってバンドに持って行ったら、あっという間にできてしまった(笑)。


--- ライヴで何度も聴いているから、知っているわけですけど、このアルバムで聴いたときに、こんなに凄い曲だったのかと思いましたね。


柴田:清水もこの曲が一番いいって言ってましたよ(笑)。でもね、そういうイメージで今回のアルバムの中に入れられたのは、今のラインナップの力だと思いますよ。誰か欠けてもダメだったと思うんですよね。だから、その曲がいいかどうかというよりは、今のラインナップの素のポテンシャルが……だって何の細工もない曲ですからね、これは。リード・ギターもない(笑)。そのまま今の4人の作用が、ストレートに反映されてると思うんですよ。


--- 確かにシンプルな曲の作りからいっても、その指摘は頷けますね。


柴田:うん。それと、すごく思い出深いというか……「Pain」という曲があるんですけど、僕はこれをシングルにしたらいいんじゃないかなって、ずっと言っていたんですよ。あと「Don't Let It Die」も候補だったかな。でも、今回はその選択を担当A&Rに委ねると決めてたんです。彼はホントにANTHEM愛も強いし、僕のことも昔からよく知ってる(笑)、もちろん、ANTHEMのメンバーのこともそうだし、ANTHEMがユニバーサルに来るキッカケは、僕と彼がずっと付き合いがあったからですし。前作の『BURNING OATH』(2012年)は、バンドのことをすごく尊重してくれて、バンドに全権を……今もすべてバンドが決めていいって言うんですけど、今回はメンバーが代わったこともあるし、ユニバーサルとやる2作目でもあるので、どれをリーダー・トラックにするとか、曲順をどうするかとかまで、彼の考えを参考にしようって思ってたんですよ。今思うと、「Shine On」になったのは、それはそれでよかったんだろうなと思うんですよね。アルバムの中に、それこそ「Destroy The Boredom」みたいなストレートな曲のバリエーションがありながらも、シングル候補になる曲が少なくとも2~3曲あったという事実は、確実にアルバムのカラーになったと思いますね。


--- 「Shine On」は結果的にアルバムの1曲目にもなりましたが、歌詞の内容を含めて、新しいANTHEMが始まったんだなという主張が感じられますね。


柴田:ポジティヴな感じはしますよね。一所懸命に頑張るメンバーとか、それこそ不眠不休で働くスタッフとか、フェイスブックもツイッターもそうですけど、叱咤激励してくれるファンの方とか……ストレスの多い世間ですけど、そんなこと言ったってしょうがないじゃないですか。みんなその日、その日を必死に生きているわけで。基本的には自分たちを鼓舞する意味ですけど、僕も一所懸命何かに向かっている人たちに向けての歌を作りたいなぁという思いだったんですよね。


--- こで気になるのが、やはりアルバム・タイトルの“ABSOLUTE WORLD”という言葉ですよ。何物にも左右されない、揺るぎないもの。絶対的な世界がここにある、信じて付いてきて大丈夫だといった、力強い宣言のように受け取れますからね。


柴田:そんなイメージでこのアルバムを聴いてくれたら、作り手としては最高に報われますけどね。いろんな意味があるし、“absolute”は調べると深いし、インパクトのある言葉じゃないですか。だから、ANTHEMワールドもそうですけど、やっぱり自分が絶対的だと思える世界ですよね。それを認識していることはとても大事で……今回のアルバムを作って特に思うんですが、僕はリーダーをやってますけど、ここまで長く続いてくると、僕一人のものではなくて、そこに関わる人全員がANTHEMだというような感覚があります。僕一人の思惑だけではない、それこそ絶対的な何かのような気がして。もともと“absolute”は、自分の中で引っかかる言葉としてストックしてあったもので、最初にインストの「Absolute Figure」のタイトルに使ったんですけど、レコーディングを振り返ると、そこには確実にANTHEMの世界があるなぁと思ったんですよ。ある意味では、雄々しいというか、自信に満ちた、堂々とした響きじゃないですか、“ABSOLUTE WORLD”って。アルバム・タイトルとしては、今にピッタリだなぁと思いました。


--- そうかもしれません。その『ABSOLUTE WORLD』を引っ提げたツアーも、なおさら楽しみになりますね。


柴田:顔見せ的な今年の夏のツアーに関しては、このラインナップの素のポテンシャルをさらけ出すことを目標にしてやったんですけど、今回は『ABSOLUTE WORLD』を作ったこのラインナップの凄みというんですかね。さらにレヴェル・アップした説得力みたいなものをお見せできないといけないと思って、ずっと練習をしてます。そこはみんなの共通認識なんですよ。だから結構ヤバいです。珍しく燃えてますよ、あの人たち(笑)。夏とはまた何か違った側面の4人を見せられるときっと思うんですけどね(笑)。


ANTHEM 最新アルバム「ABSOLUTE WORLD」

ANTHEM / ABSOLUTE WORLD

ANTHEM / ABSOLUTE WORLD

<CD収録曲>
1. SHINE ON
2. STRANGER
3. PAIN
4. DESTROY THE BOREDOM
5. LOVE OF HELL
6. DON’T LET IT DIE
7. ABSOLUTE FIGURE (Instrumental)
8. SAILING
9. EDGE OF TIME
10. IN THE CHAOS
11. RUN WITH THE FLASH

発売日: 2014.10.22
UNIVERSAL MUSIC

○通常盤 [SHM-CD]
価格: 3,024円(税込)
品番:UICN-1067

○初回生産限定盤 [SHM-CD] [+DVD]
価格 : 3,780円(税込)
品番:UICN-9026

Anthem - SHINE ON - YouTube

Anthem New Single “SHINE ON"デジタル配信10月1日スタート! iTunes Store:http://po.st/itshineanthem 収録曲: 1.SHINE ON 2.ONSLAUGHT (Version1.1) 3.BLACK EMPIRE (Version1.1) 4.L...

ANTHEM “ABSOLUTE WORLD” TOUR 2014

○2014.11.01 (土) - 仙台 MACANA
OPEN 17:00 / START 18:00
info: 仙台MACANA 022-262-5454
主催: Date fm

○2014.11.02 (日) - 札幌 cube garden
OPEN 17:00 / START 18:00
info: music fun 011-208-7000

○2014.11.07 (金) - 広島 NAMIKI JUNCTION
OPEN 18:00 / START 19:00
info: NAMIKI JUNCTION 082-249-7363

○2014.11.08 (土) - 福岡 DRUM LOGOS
OPEN 17:00 / START 18:00
info: Kyodo Nishi Nippon 092-714-0159
主催:九州朝日放送

○2014.11.22 (土) - 大阪 BIG CAT
OPEN 17:00 / START 18:00
info: kyodo Information 06-7732-8888
主催:ミューベンツ・ジャパン
後援:FM802

○2014.11.23 (日) - 名古屋 Electric Lady Land
OPEN 17:00 / START 18:00
info: SUNDAY FOLK PROMOTION 052-320-9100
主催: FM AICHI

○2014.11.29 (Sat) - 川崎 CLUB CITTA'
OPEN 17:00 / START 18:00
info: CLUB CITTA' 044-246-8888
主催: bayfm78「POWER ROCK TODAY」
後援:tvk

全公演 前売 6,000円(税込)
*入場は整理番号順に行います。
*入場の際、ドリンク代が別途必要となります。

◆企画制作:CLUB CITTA'
◆協力:ユニバーサル ミュージック
◆総合問合せ:CLUB CITTA' 044-246-8888 http://clubcitta.co.jp/