2018年6月18日 更新

仰天!インドのメタル・シーンの今 第1回

インドのメタルがこの10年で大幅に成長した。世界の潮流を捉えながら伝統と革新が混じり合う進化したサウンドが育まれ始めているのだ。ここからメタルの新時代を切り開くニュー・ヒーローが誕生するかもしれない。そんな「今」、知っておくべき新世代のバンドたちをご紹介!

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インドと言ったらメタルでしょ

「インド=映画と古典音楽とカレー」

あなたはいまだにそんなイメージをお持ちだろうか。

「実はメタルが面白いんだぜ。インドは!」

なんて唐突に言ってみたところで一笑に付されるか、いぶかしがるかのどちらかだろう。
けれども、「経済が急成長して21世紀はインドの時代が来る」などと言われるようになってから久しい。
だとするならば、メタルだって急成長していてもなんら不思議ではないではないか。

……少々強引だろうか。

いや、実はこの10年でインドのメタル・シーンはかなり様変わりしている。

冷やかしで結構。ちょっとだけ覗いていって欲しい。
そこにはスパイスのように複雑でインド哲学のように深遠なメタルの世界が広がっているのだから。

きっかけは王者IRON MAIDEN

2007年3月17日。

この日を境に世界のメタル・ファンたちのインドを見る目が大きく変わった。

インド南部カルナータカ州の州都バンガロール(註1)で、Eddfestと冠されたIRON MAIDENのコンサートが開催されのだ。そしてそれは、インドにおいて初めて海外の超大物メタル・バンドが演奏した記念すべき日でもある。

インド国内はもちろん、近隣諸国からもファンがバンガロールに集結。一説によれば、その数約38,000人。会場内に入れない者も4,000人ほどいたという。ヘヴィ・メタルの歴史を築いた王者の降臨を熱狂をもって歓迎した。そして、彼らが見せた純粋で爆発的な熱量は驚くべき話題となって世界のメタル・ネットワークに伝播していったのである。

この様子は、これまで一般的に紹介されることが少なかったアジアや中東、ブラジルのメタル・シーンを取りあげて大きな話題を呼んだドキュメンタリー映画『グローバル・メタル』でも触れられているのでご覧になった方々も多いだろう。

そして伝説へ

少々細かい話になるが、インドという国は、公用語とされるヒンディー語と準公用語の英語のほかに約20もの認定された言葉を持ち、全体では数百という言語が存在しているとまでいわれる。

宗教も主だったものだけで、ヒンドゥー教、仏教、シク教、ジャイナ教、イスラム教、キリスト教があり、民族もゴンド、インド・アーリア、ドラヴィダ、タミル、コーチン・ユダヤ、ブナイ・メナシェ、ナガなどをはじめ多数存在する。

つまり、多言語、多宗教、多民族国家で文化も多様。さらにそこに身分制度まで加わってまさに混沌としているわけだ。

けれどもそんな状況の中、IRON MAIDENというヘヴィ・メタルの王者の元に、すべての垣根を超えてインド(さらに近隣諸国)のメタル・ファンがひとつになったのだ。

そういう意味でも2007年3月17日という日は後世に語り継がれる記念すべき日なのである。

フェスがある。ワールドクラスのバンドはインドを目指す

そしてその歴史的な日から徐々に世界がインドに注目し、またインドが世界への扉を開いていくことになるのだ。

バンガロール、デリー、ムンバイを中心にRock 'N India、Great Indian Rock、Deccan Rock、Summer Storm Festival、Harley Rock Riders、BIG69といったロック、メタルを中心としたフェスティヴァルがいくつも企画され、AMON AMARTH、TEXTURES、LAMB OF GOD、MESHUGGAH、TESSERACT、MACHINE HEAD、 CARCASS、FLESHGOD APOCALYPSE、SIKTH、MEGADETH、BEHEMOTH、DECAPITATED、SATYRICON、METALLICA、SLAYERなどを招聘してきた。

さらに、南インドの古典音楽が盛んな都市チェンナイで行われているSaarangというカルチュラル・フェスティヴァルでは、ロック・ショウも行われており、国内の有名バンドのみならず、OPETH、HAMMERFALL、ANATHEMA、KARNIVOOL、KATATONIA、VEIL OF MAYAなどがヘッドライナーとして参加している。

Deccan Rock - Fourth Edition (OFFICIAL AFTER MOVIE)

例えば、Deccan Rockの4th Edition。
これは2016年にテランガーナー州ハイデラバードで行われた。

Bangalore Open Air

しかし、このようにいくつも開催されるようになってきたフェスティヴァルの中でもメタル・ファンが注目すべきは、2012年からカルナータカ州バンガロールにて毎年開催されているBangalore Open Airであろう。

これまでに、KREATOR、ICED EARTH、DARK TRANQUILLITY、IHSAHN、ANIMALS AS LEADERS、DESTRUCTION、NAPALM DEATH、VADER、SKULL FISTなどがそのステージに立ってきた。
ちなみに今年予定されている開催日は7月7日。海外からは、OVERKILL、IMMOLATION、ALCEST、NERVECELLが名を連ねている。

さらに世界最大のメタル・フェスとも称されるドイツのWacken Open Airと協力し、本大会出場を賭けたバンド・コンテストW:O:A Metal Battle Indiaも取り仕切っている。

Bangalore Open Air 2015 - After Movie

節目の2010年前後に注目されたバンド

それではインド国内のメタル・シーンはどうだろう。
90年代後半から00年代に結成されたバンドが徐々に成熟、さらには現代的な新世代のバンドが登場してきた時期と、それに呼応するように世界がインドに目を向けてゆく時期が重なり始めるのが2010年前後のように思う。

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小笠原和生 小笠原和生