記事公開日:2015/03/18

三国志に登場する武将の名前から取ったバンド名、兀突骨(ごつとつこつ)。まさにゴリゴリにしてゴツゴツのデスメタル・サウンドを掲げ、豪放な音色で疾駆する楽曲がとにかく圧巻。昨年に円城寺(G)と秋田(Dr)の2人のメンバーが加え、新3ピース体制になった彼らが早くも3rdアルバム『因果応報』をリリース! 漢字とカナタナ混じりの独自のリリックで言葉を届けることを重視したヴォーカルは殺傷力が増し、また、メタルの中にスラップ音をビシバシ決めた肉感的なベースもインパクト大で、比肩するバンドが見当たらない「和メタル」を今作で完全確立させている。リーダーの高畑(Vo / B)に話を聞いた。
兀突骨

兀突骨

メンバー:
Haruhisa Takahata(高畑治央)Vo,B
Enjyouji Keiichi(円城寺慶一)G
Kouki Akita(秋田浩樹)Ds

兀突骨:高畑治央<Vo,B>
インタビュアー:荒金良介

織田信長がテーマで、あの人の周りには裏切り系のネタが多いんですよ。

--- いきなりですが、今作の歌詞は今の社会情勢(*取材日は2月17日)とリンクし過ぎてて、ちょっと怖かったんですよ。


高畑:ああ、それは狙ってました。


--- えっ、そうなんですか! でも歌詞は以前から書いてたものですよね?


高畑:曲作りは去年の夏から始めたんですけど、それから2カ月ぐらいで曲と歌詞を書いて、すぐにレコーディングしたんですよ。だから、12月には完パケしました。だから、急ピッチで作ったアルバムですね。で、曲作りの間にいろいろとテレビで得た情報にインスピレーションを受けて作りました。わりと最近のことばかりテーマにしてるというか、ちょうど大河ドラマ「軍師官兵衛」をよく観てたんですよ。織田信長がテーマで、あの人の周りには裏切り系のネタが多いんですよ。それが歌詞にも大きな影響を与えてます。


--- 大河ドラマからインスパイアされた歌詞が、今の情勢とも見事にリンクしたんですね。


高畑:あっ、IS(イスラム国)の方ですか? それは予言したわけでもなく、自分的にもあれにはビックリしました。世の中的には自己責任みたいな感じで、社会問題になってるし・・・。


--- そこは当然予想してなかったわけですよね?


高畑:そうですね。これから制作しようとしてるMVで自分が打ち首されるシーンを考えていたんですけど、それはやめた方がいいということで。


--- ちょっとシャレになりません。


高畑:ええ、それで考え直そうと。別に予言したわけじゃないし、歌詞はISと全く関係ないですからね。大河ドラマをイメージして歌詞は作りましたから。


--- だけど、歌ってる内容とテレビの世界が完全にリンクしちゃった。


高畑:ニュースを観るたびにリアルタイムだなと思いました。発売していいのか不安になったけど、そこはデスメタルなので、いいかなと(苦笑)。


--- 今作は歌詞も演奏もなるべく真空パックして、早く発売したかった?


高畑:そうですね。去年メンバーも自分以外は替わったので、アルバムを出さないと、新メンバー復活とは言えないなと。去年6月にギタリストが入ったので、すぐにアルバムを作ろうと。新メンバーにも協力してもらえたし、うまく事が運んで良かったです。


各自、目立ちたがり屋なんですよ。ライヴでも打ち合わせもなく、ジャムっぽい展開もできるし、

--- 去年メンバーが2人加入して、新体制になりましたよね。ライヴを重ねて、バンドのグルーヴを固めた後に作品を出す選択肢もあったと思いますが。


高畑:たまたま加入してくれたメンバーがテクニシャンだったので、ライヴで音を固める作業をしなくてもいけるなと。


--- 2人ともかなり演奏はうまいんですか?


高畑:まだ若いけど、凄いんですよ。ドラムが22歳、ギターが24歳なんですけど、ギターはMIの講師もやってるぐらいだし、ドラムは8歳から叩いてる奴で、メタル版『巨人の星』みたいな英才教育を受けてるんですよ。


--- それは凄いですね。


高畑:泣きながらドラムの練習をしてたみたいです(笑)。


--- 最初から腕のいいミュージシャンを入れようと思ってました?


高畑:いや、それはたまたまですね。メンバー・チェンジに関してはタイミングが良かったなと。


--- 現3ピースになって変化した点というと?


高畑:各自、目立ちたがり屋なんですよ。ライヴでも打ち合わせもなく、ジャムっぽい展開もできるし、そこは前のメンバーと違うので楽しいですね。


--- テクもあるし、即興にも対応できると。どこかでそういうメンバーを欲していた部分もあります?


高畑:昔からそういうバンドをやりたかったですね。ライヴはセッションというか、例えばLYNYRD SKYNYRDみたいに曲が長くなっちゃうみたいな。メタルだけど、アドリブで曲が進むのは理想でした。今はライヴハウスで30分しか時間をもらえないので、なかなかできないですけど。将来的にはそういうライヴもやっていたいですね。


--- LYNYRD SKYNYRDも聴くんですか?


高畑:結構70年代も好きなんですよ。LYNYRD SKYNYRD、THE ALLMAN BROTHERS BANDとか。


--- もともとその辺から音楽に入ったとか?


高畑:自分の場合、中学の頃はAEROSMITH、GUNS N' ROSESが流行っていたので、そこから入ったんですけど。ベースに興味を持った時に70年代のバンドやファンク、フュージョン、ロック系ならRED HOT CHILI PEPPERS、FAITH NO MOREも聴き始めて。


--- FAITH NO MOREはちょうど来日してますね(笑)。


高畑:今日も行こうかどうしようか、迷ってるんですよね(笑)。まあ、テクニカルなベースは昔から好きですね。


それでメタルにスラップを入れたバンドをやりたいなと。

--- 特に影響を受けたベーシストは?


高畑:RED HOT CHILI PEPPERSのフリーにはスラップ奏法を練習したいと強く思わされたし、PRIMUSのレス・クレイプール、あとはラリー・グラハム、ジャコ・パストリアス、スタンリー・クラークですね。ベースマガジンに載ってる人の音源は聴いてました。


--- 最初からテクニカル志向でした?


高畑:そうですね。中学で初めてベースを持った時に楽しかったんですよ。で、当時はメタルもやりたかったから、メタルの中に難しいプレイを入れられないかなと思って、試行錯誤しました。その中で参考になったのがSUICIDAL TENDENCIESやFAITH NO MOREで、特にロバート・トゥルージロ(現METALLICA)みたいにスラッシュの中でスラップを入れるのはかっこいいなと。兀突骨のベースプレイに関しても参考にしてます。それでメタルにスラップを入れたバンドをやりたいなと。


--- メタルへのこだわりは強いんですね?


高畑:メタルが一番好きですね。「ファンクもやらないか?」と言われたら、やりたい気もするけど、パーマネントでやるならメタルだなと。


日本のリスナーは保守的で、そこに憤りも感じちゃって。

--- 現在の兀突骨に通じる音楽性で影響を受けたバンドは?


高畑:SEPULTURAの『BENEATH THE REMAINS』、『ARISE』、SODOM全般、あとはVADER、SLAYERですね。


--- スラッシュ・メタル系が多いですね。


高畑:もともとデスメタルよりもスラッシュ・メタル寄りでやろうと思ってたんですよ。


--- スラッシュを基軸に音がどんどん過激になった感じですか?


高畑:そうですね。エクストリーム・メタルがやりたかったんですよ。だけど、欧米メタルのモノマネにはしたくない。何かオリジナリティを出したいと思って、苦労しました。で、サムライメタルみたいなスタイルを見つけたんですよ。日本人がハードロックやメタルをプレイすると、不利だと言われることもあるけど、逆にそこを武器にできないかなと。で、日本語でやると、意外と外国でもウケが良かったんですよ。


--- 洋楽の模倣だけは避けたかった?


高畑:どの国のバンドもみんな英語で歌うことに疑問を感じたことがあって。BRUJERIAがスペイン語で歌うデスメタルを聴いた時に悪くないじゃんって。言葉独特の雰囲気が出てるし、これはこれで面白いなと。RAMMSTEINもドイツ語で歌ってるのにヒットしてるじゃないですか。英語じゃないと売れないというのは、日本人が勝手に思ってるだけじゃないかなと。じゃあ、日本語でデスメタルをやってもいいだろうと。日本のリスナーは保守的で、北欧にいそうなバンドの音を日本人も出さないと、聴いてくれなかったりするから。そこに憤りも感じちゃって。より一層オリジナリティを強く意識するようになりました。


--- 最初から日本語とサウンドの相性はうまくいきました?


高畑:やりたい方向は決まっても、曲作りでどう表現するかは悩みましたね。結成からアルバムを出すまでに9年かかりましたから(笑)。


兀突骨は「日本人による日本人のためのデスメタルをやろう」

--- 音源を出すまでに9年かけるのもまた珍しいですね。


高畑:たくさん曲を作って、たくさんボツにしました。その中からいい曲だけを選んだから、この9年間は無駄じゃなかったなと。2〜3年で作品を出してもいいアルバムにならなかっただろうし。


--- じゃあ、修行みたいな期間だった?


高畑:そうですね。ライヴをやってもお客さんは来ないし、9年間やめなくて良かったです。


--- ひたすらライヴをやってたんですか?


高畑:はい、ライヴばっかりやってました。その間に曲作りをするという。その中で兀突骨は「日本人による日本人のためのデスメタルをやろう」と思い付いて。


--- どこかで聞いたことがあるフレーズですが(笑)。


高畑:ははは。エクストリームメタルを聴く人の入り口になるようなバンドをやりたくて。それで日本語、歴史ネタ、あと、曲がキャッチーであること。それは結成時から変わらない部分ですね。


今は逆に和風テイストな演奏をしなかったら、お客さんに怒られるから(笑)。

--- なるほど。これまでメンバーチェンジも激しいですね。


高畑:アルバムを出すたびに替わってますからね(笑)。それでもやりたいと言ってくれるメンバーがいるし、ウチのバンドのことを理解してくれるから、すごくやりやすいです。今は和風メタル、着物でライヴをやることに嫌悪感を抱くメンバーはいないし、何の説明もいらなくて。前のメンバーはバンドのコンセプトで意見が食い違ったので、それは曲作り以前の問題ですからね。今は逆に和風テイストな演奏をしなかったら、お客さんに怒られるから(笑)。


--- 今作を作る上でどんなことを考えました?


高畑:前作は1曲1曲が長かったので、もう少し短くしてストレートにしようと。ライヴでも曲が長いと、あまりプレイできないから。


--- 対バン形式だと特にそうですよね。時間も限られるし。


高畑:そうなんですよ。新曲もたくさんやりたいし。ただ、本音を言えばレコーディングが大変すぎて、あれはもう嫌だなと。8分 〜10分の曲が多かったので。


--- この手の音楽で10分って異常ですよ(笑)!


高畑:「アルバム2枚分のレコーディングだった」とエンジニアの人にも言われました。


アルバムの最後はエピック・ソングというか、水戸黄門の印籠みたいなものです(笑)。

--- 今作のラストを飾る「是非ニ及バズ」はもっともドラマ性があり、物語性も豊かですね。この曲だけ唯一7分台の楽曲で、大好きな曲なんですよ。


高畑:アルバムの最後にドラマチックな曲を入れるのが伝統になってて、みんな兀突骨の作品にああいう曲がないと認めてくれないというか、期待しているのかなと。アルバムの最後はエピック・ソングというか、水戸黄門の印籠みたいなものです(笑)。これは一生続くんじゃないかな。


--- この手の音で、ここまで壮大な曲をやるバンドは少ない気もしますが。


高畑:自分、IRON MAIDENも大好きで。「Powerslave」、「暗黒の航海」とか好きで、ああいう曲を作りたいなあと子供の頃から思ってたんですよ。ライヴとスタジオは別物だと思っているので、気づけば曲が長くなるんですよね。それで考えすぎたのかなと思い、今回は短くストレートに行こうと。とはいえ、5分ぐらいはありますけどね。ただ、ストレートになったことで、各メンバーの自己主張プレイも見せやすくなりました。ソロやドラムのフィルインにしろ、そのパートが来たら存分にメンバーの持ち味を発揮できますからね。


ウチは司馬遼太郎から影響を受けているので。司馬遼太郎ちっくデスメタル・・・略して司馬デス!

--- 曲作りも変わりました?


高畑:今回は完全に自分一人で作ったんですよね。バンドでセッションしたものはないですね。いままではある程度骨格を固めて、メンバーに投げて、それからまたアレンジも変わることが多かったんですよ。今回は曲の構成まできっちり考えました。とにかく早くアルバムを出したかったので、曲作りにもあまり時間をかけたくなくて。バンドは共和制だと進まないので、自分が絶対君主で仕上げようと。


--- そういう意味で自分色はもっとも出せた?


高畑:自分が曲を作ると、ベースプレイを含めて、ああいう感じになりますからね。


--- というのは?


高畑:ストレートになって、たまにヘンなパートが入るみたいな。あと、新メンバーのプレイからインスパイアされて曲を作った面もあるんですよ。気持ちいい 2ビートやブラストビートが増えたのは、秋田のドラム・プレイを活かしたくて。


--- アルバムの前半は特に疾走ナンバーで固められてますもんね。


高畑:最初の4曲目までそうですからね。作品自体もドラム・ソロで始まるし、それは彼のプレイを聴いてもらいたいという狙いです。自分に関しては、今回ベースプレイ以上にヴォーカルを頑張ったんですよ。何を言ってるかわからないと言われるのが嫌だし、今回はちゃんと発音して、クリアに抜けるような声を出そうと。それでボイトレもしましたからね。残虐な言葉がきちんと聴こえて、日本語のデスメタルというイメージを付けたかったんですよ。みんなに歌詞も見てもらいたいし、ウチは司馬遼太郎から影響を受けているので、そこをわかってもらえたらいいですね。司馬遼太郎ちっくデスメタル・・・略して司馬デス!


--- ははははは。


高畑:MEGADETHはインテレクチュアル・スラッシュメタルと言われてましたからね。兀突骨も言った者勝ちかなと(笑)。


--- 今作を聴いても、随所で日本語がはっきりと耳に飛び込んできて、一瞬ドキッとします。


高畑:悲惨なイメージをもってくれたらいいですね。海外のデスメタルは歌詞まで読まないかもしれないけど、母国語で「皆殺し」、「殺してやる!」と言われた方が響きが違いますからね。同じ日本人なら、ストレートに伝わるかなと。


デスメタルもアンチモラル・エンターテイメントだと僕は思うんですよ

--- その気持ちはどこから生まれるんですか?


高畑:ホラー映画や怪談でも怖いと言いつつ、みんな楽しみながら観るわけじゃないですか。デスメタルもアンチモラル・エンターテイメントだと僕は思うんですよ。嫌な気分にさせるだけじゃなく、楽しいと思ってもらえるのが僕が曲作りでも目指してるところですね。


--- サウンド面の話をすると、全体の音もグチャッとせず、3人の演奏がクリアに聴こえますね。


高畑:外部の人にミックスをお願いしたので、それが大きいですね。トリオバンドらしい録り方をしてくれたと思います。ギターだけが大きいだけじゃなく、ベースもよく聴こえるし、ライヴの音に近いミックスになったと思います。



--- なるほど。曲的には「裏切ノ報イ」はベースやギターのソロフレーズが立ってるし、その後に続く「天下無双」もすごくかっこいい曲ですね。これはハードロック的なアプローチが際立ってますね。


高畑:そうですね。彼(円城寺)はもともとMOTLEY CRUEが大好きなギタリストだし、ジェント系とかテクニカルな音も大好きだし、先生やってるだけにいろんなものを聴いてますね。

--- では、最後にアルバム名の由来を教えてもらえますか?


高畑:これも大河ドラマ「軍師官兵衛」です。良い行いをすれば良い報いを受け、悪い行いをすれば悪い報いが待っている。戦国武将でも裏切って殺される人もいれば、裏切らないで大名になる人もいたり、それと自分の現実世界をリンクさせて・・・そういうことなのかなと。こないだライヴが終わった後、車のエンジンがかからなくて、JAFを呼んだんですけど、それも因果応報なのかなって(笑)。まあ、自分のマイブームが因果応報という言葉だったんですよ。嫌なことがあったら、それは因果応報だから、自分の私生活を見直さないといけないなと。だから、小さな徳を積まなきゃいけないですね。それでコンビニのレジ前にある貯金箱に1〜2円入れたりしてます(笑)。でもこのアルバムを作ってる時に胃潰瘍になっちゃって、これも因果応報なのかなって、自分で納得しました。


--- そのおかげでいい作品ができたと(笑)。


高畑:そうですね。あの苦しみも報われるなと。何でも当てはまるので、因果応報っていい言葉だなと。みんながそういう風に身近に感じてくれたら、世の中は良くなるのかなと。


兀突骨 最新リリース情報

 (3463)

ア-ティスト:兀突骨(Gotsu-Totsu-Kotsu)
タイトル:因果応報 - Retributive Justice
発売日: 2015年3月18日(水)
レ-ベル: B.T.H. RECORDS
フォ-マット: CD
定価:2,400円(税抜価格)
規格番号:BTH-058

<収録曲>
一、狂気ノ戦野 - Insane Battlefield
二、因果応報 - Retributive Justice
三、地獄カラノ刺客 - Immortal Assassin
四、裏切ノ報イ - Treacherous Reward
五、天下無双 - Last Man Standing
六、獄門 - To Gibbet a Head
七、覇王伝 - Legend of Overlord
八、破軍星 - Benetnash
九、河越夜戦 - Kawagoe Night Battle
十、是非ニ及バズ - Zehi Ni Oyobazu

兀突骨ライブ情報

2015年4月11日(土)WildSide TOKYO
2015年4月12日(日)WildSide TOKYO
2015年4月18日(土)渋谷club ASIA
2015年4月25日(土)心斎橋club ALIVE
2015年4月29日(水・祝)新宿ANTIKNOCK
2015年5月3日(日)池袋CHOP

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