2015年10月29日 更新

第2回:BEDLAM

記事公開日:2015/09/03

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目次

記事公開日:2015/09/03

 さて、もう夏も終わりですね。夏といえばもはやセピア色となっている淡き小中学の夏休みの思い出。夏休み初日から全身全霊で遊びまくり、夏休みの残り3日程で出されていた宿題やら何やらを徹夜でやっていたなと遠い目をして思い出してみたり。夏休み最終日には「来年こそ最初の一週間で全ての宿題を終わらせて、残りは1ピコキュリーの体力も残さない勢いで遊びまくるぜ」と誓いを立てるのですけどね、結局同じことの繰り返し。バカなんですかね~、バカなんでしょうね。
 でもって、何が言いたいのかと簡単に言うともう原稿が遅れてしまってヤバイってことなんですよ。担当のO女史からの「どうなってますか~」ってメールに胸がドキドキ!これが山口百恵で言うところの「ひと夏の経験」ばりの恋愛だったら良かったのですが、そうではないですからね。ハイ、ということで「あなたにこの大切な原稿を捧げます」、遅れてごめんなさいの言葉と共に。
BEDLAM

BEDLAM

BEDLAM メンバーショット - POISON CHILD誌のVol.9号(1995年11月1日発行)より転載
 連載の2回目、書くのはBEDLAMという名古屋を拠点に活動していたスラッシュメタルバンド。「出す出す詐欺アゲイン」のタイトルでコラム(※注1)を書いたkuma氏が在籍していたバンドである。くっそ~、人の名前出しやがってという復讐も込めてますよ、今回のコラムは(笑)。
 とにかく資料とか殆ど無いので、少ない資料やインタビューから推測するに結成は1989年。kuma氏が結成したバンドと思っている当時からのファンもいるが、実際はドラムの荒金氏が大学時代に結成。初期はなかなかメンバーが固定せず、音楽性もパワーメタルよりだったとのこと。年代は分らないが、kuma氏が加入する前に、殆ど関係者にしか配布されなかったデモも1本出しているらしい。因みにkuma氏は幻のスラッシュメタルバンド、GOD’S DIGNITYに在籍、ギターは現在DISGUSTで活躍している杉浦氏。kuma氏は「この二人が一緒にバンドやっていたのが奇跡」と言っていたが、程なく崩壊。恐らくデモは1本出ているのみ、東京でのライブは目黒にある鹿鳴館でやったのが最初で最後だったと思う。GOD’S DIGNITYの名前は後にチラっと出るので頭の片隅にでも。BEDLAMに話を戻すが、恐らく1993年頃には荒金氏(Dr)、 kuma氏(Vo/Ba)、神前氏(Gt)、大河内氏(Gt)という黄金期のメンバーが揃っていたと思われる。そのメンバーで1994年に名刺代わりとなる4曲入りデモ「A SUDDEN ATTACK OF ILLNESS」を発表。まだ荒削りな部分もあるが、どことなく同郷の先輩であるOUTRAGEの香りもする勢いのあるスラッシュメタルを展開。タイトル曲でもある「A Sudden Attack Of Illness」は人気が高くバンドの代表曲ともなり、kuma氏在籍ラストライブでは最後に演奏された曲でもある。言葉では上手く説明できなくてモドカシイが、名古屋から出てくるスラッシュメタルバンド群はサウンドが似ていなくてもどことなく『名古屋』を感じさせるものがあったので、「なごやんスラッシュ」なんて呼ばれていることも多かったと記憶している。それを一番体現していたのがこのBEDLAMであった。このデモテープをリリース後、名古屋ではHIDDEN、VOIDD、LEATHALASHといったバンドと切磋琢磨し、ツアーではCEMMENT、GOATSといったバンドがライバル、オープニングアクトとしてOUTRAGEやUNITEDに可愛がられ、着々と実力を付けていき、動員も伸びていった。「A SUDDEN ATTACK OF ILLNESS」デモは最終1,000本強のセールスを記録したという。
BEDLAM フライヤー

BEDLAM フライヤー

 そんな彼らの勢いが更に増したのは、1995年の9月3日UNITEDの「N.O.I.Q.」ツアーで行われた渋谷ON AIR WEST(現O-WEST)でのライブ。その日はUNITEDのワンマンの予定であったが、急遽前日にオープニングアクトとしてのBEDLAMの出演が決まったとのことであった。メンバーが会場前に揃って談笑していたのだが、その時に荒金氏が当時の仕事場に休みの連絡していたのを目撃している(笑)。その日のBEDLAMはステージを縦横無尽に暴れまくり、多くのファンの心を鷲掴みにし、これ以降のライブでは更にライブでの動員が増えていった様に感じた。確かUNITEDのアンコールでセッション、MOTORHEADの「Ace Of Spades」を演奏している。この頃の日本のHEAVY METALシーンといえばメジャーで活躍しているといえばOUTRAGEとUNITED位、80年代から活動していた多くの所謂ジャパメタと呼ばれたバンドは90年を境に解散していた。ライブハウスシーンに目を向けるとスラッシュメタルブームが去り、デスメタルも勢いが無くなり始めた頃で、東京といえどライブハウスではかなり『お寒い状況』が続いていた。ヌンチャクやHi-STANDARDが出てくるほんのちょっと前の頃である。そんな状況の中、BEDLAMのこれまでのスラッシュメタル流れを組みながらもハードコア寄りの新しい流れも上手く取り入れたサウンドはシーンの起爆剤になると思っていたし、実際それを証明する様に人気も動員も右肩上がりだったと思う。kuma氏が担っていた部分が多いがバンドの明るいキャラクターもあり親しみやすかったのも大きかった。そのおかげと言っていいかもしれないが、バンド周辺でホモネタが広まりドスコイスラッシュなどと呼ばれていたのも懐かしい思い出(笑)。真面目な話、口コミとライブパフォーマンスで人気を獲得していった時代、今の様にネットなど無い時代、その人気はかなり芯を食っていたものだったのではないかと。それだけに彼らに期待していたファンや関係者も多かったと思う。
 1995年に6曲入りの傑作デモ「BARE YOUR SOUL」をリリース、全曲捨て曲無し。ファンジンやファンからも大絶賛で迎えられる。デモと書いたがカセットアルバムと呼んでもおかしく無いもので、このままCDとしてリリースしても問題ない位。前作「A SUDDEN ATTACK OF ILLNESS」を聴いた時も凄いなと思ったが、それを軽く凌駕していた。楽曲も音質もBEDLAMの魅力の全てがここに詰まっていたと言っても過言ではない。因みにここにこのデモのラストに収録されている「The Clown」は先にも名前の出たGOD’S DIGNITYの曲、あまり知られていないけど。メジャー誌でも高評価で取り上げられたこともあってか、セールスは前作を軽く超える2,000本弱。そうなると次に期待するのはアルバム。ファンも次はアルバムレコ発ツアーだと思っていたし、彼らのステージから「次はアルバム持ってツアーに来るから」と言ってた。だが実際は・・・。
BEDLAM / BARE YOUR SOUL

BEDLAM / BARE YOUR SOUL

1995年に6曲入りの傑作デモ「BARE YOUR SOUL」をリリース
 kuma氏の突然の脱退に多くのファンは驚きを隠せなかったと思う。バンドの勢いも人気も上り調子だったし、「『次はアルバムでツアーに来る』 と言っていたのに何故?」と。実際、メジャーからデビューという話も寸前までいったらしい。「全てはタイミングが悪かった」とkuma氏は言っていたが、もしこの時BEDLAMがメジャーデビューしていたらどうなっていたのだろうかと、今でもそう思う。kuma氏ラストとなった舞台、今は無き高円寺の旧20,000ボルト、1996年8月3日。パンパンに入ったお客さんに見送られ、そして打ち上げでは多くの先輩や仲間に見送られkuma氏は去っていった。30分のステージ、演奏曲は「The Clown」、「No Limits」、「For A Longtime」、「Kill Me?」、「A Sudden Attack Of Illness」の5曲であった。
BEDLAM LIVE HISTORY 1993-1994

BEDLAM LIVE HISTORY 1993-1994

BEDLAM LIVE HISTORY 1995

BEDLAM LIVE HISTORY 1995

BEDLAM LIVE HISTORY 1996

BEDLAM LIVE HISTORY 1996

 kuma氏が脱退後もBEDLAMは存続。助松氏(Vo/Ba、現VIO SYSTEM DIVIDE)が加入したが、今度は大河内氏が脱退。3ピースとなったBEDLAMの歯車は上手くかみ合わなくなっていった。助松氏が悪いというわけではなく、BEDLAMのカラーを作り上げたのはkuma氏によるものが大きかったしと後にメンバーも発言している。確かに外から見てもBEDLAMのフロントマンとしてkuma氏がある種完成されていたからと思う。そして、その後釜であった助松氏はもしかしたらかなりのプレッシャーとも戦っていたのかなとも。そんな彼らであるが1998年にデモ「eject」を発表、その後残念ながらひっそりと解散していった。BEDLAMの歴史の中であまり語られることの少ないこの「eject」であるが、個人的にはなかなか味わい深い好作品だと思うし、もしBEDLAMの名前でなく別の名前でリリースされていたら評価もまた違っていたのではないかと思う。ここも「タラレバ」の話であるが、助松氏と神前氏と荒金氏がどんな音を作っていったのかと今このデモを聴いて色々と想像しています。
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