2015年10月5日 更新

第一回:汝、心の魔神を解き放ち、静寂を切り裂く調べを奏でよ!

記事公開日:2014/12/16

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記事公開日:2014/12/16

昼寝と夜寝を繰り返すグータラ主婦としての生活を続けて3年、まさか、またこうして公の場で文章を書かせていただけるようになるとは…。
このたび、Metallization.jpで、コラムを書かせていただくことになりました、星川と申します。
私のことをご存じない方も多くいらっしゃると思いますので、まずは簡単な自己紹介からさせていただきますね。
かつて、EAT magazineというメタルやパンク、ハードコアを扱うファンジンの編集者をしておりまして、その後フリーの音楽ライターになり、色々物思うところがあって5年ほど前に一旦廃業しました。
しばらくは、セ○ールやタ○シマヤなどのファッション通販カタログを作る会社で、「ほっそりとしたシルエットを演出するエレガントなプルオーバー」(つまり着痩せするってこと)みたいなコピーを書いていたのですが、十代の頃からほぼ毎日バンドTシャツで過ごしてきたファッションど素人だったため、クライアントから怒られまくって1年でクビに。
しかし、勤め中に当時の上司から紹介された男性とお付き合いを始め、退職とほぼ同時にその人と結婚。
仕事ではまったく役に立ちませんでしたが、見事婚活は成功させた、とんだ穀潰しでした。
で、現在は、子ナシの専業主婦です。
専業主婦の分際で、メタルコラムですよ!昔取った杵柄で、コラムです!!
お話をいただいた時は、いったい何を書いたらいいか、すごく考えました。
しつこいようですが、主婦です。
しかも、どうやってダラけようかということしか考えていないダラ主婦です。
先ほども、明日から夫が社員旅行なので、大量のトン汁を作りました。
夫がいない2日間、自分の食料を備蓄し、ダラダラ過ごすためです。
サボるための努力は惜しみません。
しかも、トン汁を作る際、トン汁の裏番長とも言える大根がないことに気づきましたが、買いに行かず白菜の固いところで代用しました。
それくらい徹底したダラなのです。
豚汁

豚汁

故に毎日、大した事件もありません。
私は絵里子、37歳、平凡な主婦です。
と誰に語り掛けるわけでもない自己紹介をしたところで、深夜アニメの主人公のようにこれから考えもしなかったような困難に巻き込まれたりもしないし、斎藤工のようなイケメンと真っ昼間に情事を重ねるようなこともないでしょう。
でも、私は決して、そんな平凡な毎日に女性ホルモンを乱したりはしていません。
何故なら、私にはメタルがあるから!
突然ですがみなさん、メタルの魅力って、なんだと思いますか?
私はね、ズバリ「大袈裟」であることだと思うのです。
ハイトーンやロングブレス、または下水道のようなガナるヴォーカル、テクニックをこれでもか!と見せつけるギター、何分にも及ぶギターソロ、ベースもドラムもやたら音がデカい!…って、音だけでも他のジャンルに比べて大仰。
加えて、レザー&スタッズな攻撃的な衣装や、派手なヘアスタイル&メイク、歌詞やアートワークなど、バンドにまつわるコンセプトのホラー感やSF感、ミリタリー感など、常人からは呆れられるような「デフォルメされた非現実世界」、それが、メタル最大の魅力なのではないか、と私は考えています。
そして、そんな大スペクタクルなメタルの世界に出会えた私は、それだけでヴェルターズオリジナルを貰える孫のように特別な存在になれた気分なのです。
みなさんも、そうじゃありませんか?
バンドを始めた人、DJを始めた人、または音楽の仕事に就いた人など、メタルに出会って、生き方そのものが変わった人もいるでしょう。
そこまで大きな転機にはならなくとも、例えば、クラスのリーダーやモテ子ちゃん、会社のリア充上司やチャラい同僚たち、はたまた出来の良い兄貴や愛されキャラの弟、キレイなお姉ちゃんや次々彼氏が出来る妹を横目で見ながら、「この音楽を知っている自分は、あいつらとは違う!特別なんだ!!」と、思ったことはありませんか?
私は、通販カタログのコピーをクライアントからダメ出しされるたびに、「ババアが買う服のことなんか分かんねーっつーの!私もともとメタルライターだし」と心の中で何度も舌打ちし(そもそもあの会社、よく私を採用したな...)、あげく「こいつら、EX○LEとか聴いて喜んでるつまんねえ奴らなんだろうな」と、何故か相手を見下したりしていました。
今思えば、大変失礼な奴だとは思いますが、どんなに卑屈になっても、メタルを聴いているということが、私の自尊心を保つ一因になっていたことは、間違いありません。
メタルがあったからこそ、私は辛いことも悲しいことも乗り越え、しかも婚活にも成功し(笑)、社会という荒波でサヴァイヴすることが出来ました。
今はそんなトゲトゲした反骨心は鳴りを潜め、主婦として穏やかな生活を過ごしていますが、未だ心の何処かで、「私は普通の主婦とは違う、メタル主婦だ!!」と己にちょっぴりダサい名称を付けてしまう自分がいるのも事実。
自称するだけでなく、例えば日々の中で起こるほんの小さな事件や、自分の身にはなんら関係ないテレビの向こうで起こった出来事などについて考えたり、人に話したりする時、メタル的な物事の表し方をしてしまうのです。
つまり、どんなに些細なことでも、メタルのCDに書かれている、やたらと難しい言葉や読めない漢字で綴られた帯タタキのように、壮大なスケールで考えるヘンなクセがついてしまった、ということ。
気づいて欲しい!ここまでの文章が、まさにそうであるということに!!
「メタルという音楽を好きになった→辛い時にもメタルに救われた」
これしきのことを伝えるのに何文字使ったことか!
なんと無駄な言葉の多いこと!!なんと大袈裟な表現の多いことよ!!
でも、そんな自分を、ちょっぴり愛おしくも思っていますし、これが平凡な日常でも、退屈せず過ごしている要因にもなっているわけです。
ていうか、メタル好きな人って、わりとこういう感じなんじゃないの??
以前、私のメタルライター仲間である某氏と飯を食いにファミレスへ入ったところ、彼が「このとんかつ御膳にしようかな...とんかつ御膳とドリンクバー。いや、このエビドリアが美味しそうだ!星川さん、和風から洋風に方向性変えてもいいでしょうか」と言ったことがありました。
ミュージシャンがよく言う「作品の方向性」みたいな言い方すんじゃねえよ!!あと、私はプロデューサーじゃないんだからいちいち断り入れてくんじゃねえ!!と、心底馬鹿馬鹿しい気持ちになりましたが、たかが飯の注文一つ取ってもこんな風に大袈裟に考えられるのって面白いし、幸せなことなんじゃないか、って思えてきたんです。
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