記事公開日:2015/04/17

まずは、お詫びと訂正から。
本コラム第三回「強き鼓動を滾らせる色恋、強き絆で繋がる結魂。」の2段落目にて、誤植がありました。心よりお詫び申し上げます。
誤)メゾット → 正)メソッド
さて、2月中にこんな嘘言葉を使ってしまった私ですが、嘘と言えば、4月1日のエイプリルフール。
私は当日、恵比寿リキッドルームにMASTODONを見に行っておりました。演奏、選曲、観客の雰囲気も含めて、大変素晴らしいライヴでした。
で、帰りに前職でお世話になった方と久々にお会いしたのですが、第一声「星川さん、痩せ…いや、全然お変わりなく!」と言う彼の表情は、その言葉が偽りであることを少しも隠そうとしない満面の笑み。さすがに「痩せた」とは嘘でも言えないレベルだったので、言いかけた「痩せた」をひっこめて「変わっていない」にしたのでしょう。
あーそうですよ太りましたよ!前にお会いした時より6キロくらい太ってますよ!しかも、その6キロですらちょっと軽めの申告ですよ!
そんな訳で、ちょっぴりスパイシーな嘘をいただいたエイプリルフールなのでした。
エイプリルフールに限らず、人は日常的に嘘をつきます。私自身、自分は正直者です!と、胸を張って言えるほどではなく、人並みに嘘をつきながら生きてきました。
今回は、そんな「嘘」について、考えてみます。
人が嘘をつく理由は大きく分けて3つ。
1つは、王道ですが、相手を傷つけないための嘘、いわゆる方便です。
先日、とあるラーメン屋に入りました。
醤油ラーメンのボタンを押して、女性の店員さんに食券を手渡し「醤油ラーメンですね!」と元気よく確認していただいたのですが、20分ほど待たされた末、私の前に運ばれてきたのは「塩ラーメン」でした。
いや、嫌いじゃないよ、塩も。でも今日は醤油の腹で来ちゃってるからさ~。
店員さん(先ほど食券を受け取ったのと同じ女性)を呼び「醤油を頼んだのですが」と言うと、「間違えて塩のボタンを押されたってことはないですか?」と小首を傾げてきやがったので「いや、あなたが食券を確認しましたよね?」と応戦。一旦厨房に引っこんだ彼女は何かに気が付いたのか、「申し訳ございません!すぐに作り直します!!」と血相を変えて戻ってきました。
あちらが間違っていたと認識してくれたことで気が済み、また、再度20分待っていられるほど暇じゃなかったので「もうこれでいいです。お値段も同じですし」と、目の前にあった塩ラーメンを食べはじめました。私の中ではもう、ノーサイドのつもりだったのです。
が、店員さんは「もう一杯お作りしますので!!」と食い下がってきました。えっ?2杯食べろってこと?大食い女王赤坂さんかっつーの!砂糖水飲みながら食べてくださいってか?!食えそうに見えるかもしれないけど、ダメなの!血圧も体重もヤバいの!!
「お気持ちは嬉しいですが、そんなに食べられないので」と丁重にお断りして下がってもらいましたが、店員さんは厨房から、心配そうにチラチラと私の様子を伺っています。きっと、「不味い!って顔してないかしら」と気を遣ってくださっているのでしょう。優しいお姉さんです。
塩ラーメンはそれなりに美味しかったはずなのですが、店員さんとのゴタゴタの間に麺は伸びちゃってるし、スープは温くなっているし、恐らく本来の実力は全く発揮されていない代物となっており、そもそもは醤油を食べたかったという気持ちも相まって、私の心を上滑りしていきました。それでも、店員さんは私を見ているだろう、美味しそうに食べていた方が彼女の心も晴れるだろうと、水戸黄門が初めてラーメンを食べた時のこと(知らないけど)をイメージしながら「ほう、こうきましたか~」って感じの表情で完食。
帰り際、例の店員さんが謝りながら見送ってくださったのですが、その時私は、「塩も美味しかったです。また来ます」と仏の微笑みを向けて店を後にしました。
ま、次来たときはやっぱり醤油にするけどね。

同じようなやりとりでも、相手の出方次第では正直に怒りをぶつける事もあります。
私はよくネットスーパーを利用するのですが、これはある日配達に来たおじさんの話。
注文したものを手渡され、「以上です」と言われたのですが、明らかに商品が足りない。「これで本当に全部ですか?」と聞くと、おじさんは少し考えてから「ない物にチェック入れてもらえます?」と納品書を差し出してきました。えーそれ私がするの?と思いつつ、品名にマルを付けていくと、大根や小松菜など、野菜ばかり9品がまるっと抜けている模様。私が野菜を食べない人だと思ったのだろうか。「芋も野菜だろ?」でお馴染のケリー・キング的な?
おじさんはどこかへ電話をかけた後、「配送センターの方でミスがあったみたいです。残りの商品ですが、いりますか?」と聞いてきました。続けて、今日はもう配達員がいないし配達時間外になるので届けられない、明日以降になるがいつがいいか、時間は指定出来ない、などと長々のたまった挙句、極め付きはこの言葉。
「今日、商品代金は全額いただけます?」
(くぉのクソがぁぁぁぁ~ッ!!!いい加減にしろーーーー!!!)
ここからは、キレた私のターン。
「常識的に考えて下さいよ!生鮮食品なんだから、明日でいいわけないでしょ?夕ご飯に使うの、今日の!!じゃあ、足りないものはどうすりゃいいと思う?これから別の店に行って買ってこいって?そしたらおたくの商品、もういりませんよね?いつ届くか分からないんだもん。そんなモンに、代金払える訳ないでしょ?!」
そう畳みかけたところ、まだおじさんからもらっていないものに気づきました。
「それと、まだ一言も謝罪をいただいていませんよね?」
慌てて米つきバッタのように謝ったおじさんは、色んなところに電話をかけて、結局は当日再配達をしてくれることになりましたが、それ以来、おじさんが我が家へ配達しに来ることはなくなりました…。
ちなみに、これはラーメン屋と同じ日にあった出来事です。
前世で何かやらかしたのか、私にはこういう日が月に1回くらいあります。
配達のおじさんは私の友達でも何でもないので、無礼を働かれたらきちんと意見をしますが、友人知人などの人間関係の中で、「いい人」でありたいと思うあまり、嘘をつくことがあります。これが、嘘をつく2つ目の理由。「自分を良く見せたい為の嘘」です。
お世辞や社交辞令だけでなく、嫌なことをされたり言われたりしても、グッと我慢してしまうこともまた、自分の気持ちを偽る嘘だと思うのです。
長年の友人などの場合、今後も蟠りのない付き合いをする為、「きっとこの人なら分かってくれる」という信頼のもとに、あえて正直に苦言を呈すこともありますが、単に腹を立てられ、関係を断絶されてしまうことも。
この時最も悲しいのは、苦言を理解されなかったことよりも、こちらの信頼をよそに相手から弁明も反論もなく、「あんたとはそこまでの仲じゃない」と切り捨てられた、ということ。
子どもの頃から昔話や童話で摺り込まれてきた「嘘は人を傷つけ、自分を孤独にする悪しきもの」だという考えは、人間関係においては必ずしもそうじゃない、と大人になって気づくものです。
そして、嘘をついてしまう理由、最後の1つ。
それは、「勘違いや思い込みで、図らずも嘘をついてしまう」パターンです。
文章を書く仕事をしていると、様々な知識や言葉を知っていると思われがちなのですが、少なくとも、私は違います。勘違いや知らないことだらけで、恥を掻いたことも数知れず。
その中でも印象深いのが、「三国志」と「西遊記」を同じ話だと思っていたこと。正確に言うと、「西遊記」は「三国志」を分かりやすくする為に、登場人物を桃太郎のように動物へ置き換えてファンタジックなお話にした、子ども向けバージョンだと思っていたのです。お気づきのこととは思いますが、これだけ具体的な思い込みなのに、どちらも話の内容は殆ど知りません。しかも、そう思った根拠は「どちらも中国っぽい」という雑さ。題名も「さ」しか合ってないし…。
これが間違いだと発覚した切っ掛けは、以前作っていた音楽誌での編集会議でした。当時の私は…まあ、これも大概ですが、「ヴィジュアル系文化のある日本では、きっとブラックメタルが流行るはず!」と頑なに主張しており、「90年代初期のブラックメタル史(インナーサークル云々)を、ヴィジュアル好きの女子にも分かりやすく説明出来るように、キャッチーな文章に落とし込めないだろうか」という提案の例えとして、「三国志」と「西遊記」の話をしたのです。当然、相談したライターさんから間違いを指摘していただいたので、他の誰かにこの嘘知識を広めることはありませんでしたが、今でも思い出すと、顔から火が出そうです。
逆に、それまでは正しく記憶していたのに、人から間違った訂正をされてしまう場合もあります。
休日が平日を挟んで並ぶことを、なんて言います?そう、「飛び石連休」です。20代の頃、たまたま口にしたその言葉に対して、ある友人が「“飛び石連休”ってなんだよ!“飛び一(いち)連休”だろ?」と言ってきました。
もちろん一度は「そんな言葉聞いたことないよ!」と反論しましたが、奴さんは「お前はお笑い好きだから勘違いしてるんだよ!」と一喝。まあ、確かにメタル好き芸人、藤井ペイジのコンビ名は「飛石連休」ですけど。
相手の自信満々さに圧倒されてしまい、すっかり信じ込んでしまった私は、しばらく「飛び一連休」で過ごしてしまいましたが、やはり別の人にご指摘を受けるハメに。
自分の知識に自信がないと、こういう貰い事故をしてしまうのです。
冒頭の「メゾット(メソッド)」のように、頭の中では字面が分かっているはずなのに、口頭や文字に起こした時に間違ってしまうこともよくあります。類似的なものとして、「ベット(ベッド)」、「バック(バッグ)」、「シュミレーション(シミュレーション)」など。もっとひどいのは「キッズ達」ってヤツ。「ズ」で既に複数なのに、何故更に「達」をつけるのか?
外国語をカタカナに起こす際に、この間違いはよく発生します。私は、ドイツのメタルフェス「WACKEN OPEN AIR」や、女性器を表す「Vagina」など、未だにどうカタカナで表記すればいいか分かりません。一応、どちらも最初の言葉は「ヴァ」にしていますが、口頭では「ワ」と言われることも少なくないですし、悩むところです。あんまり使う機会もないけど。
単なる誤植と侮ることなかれ。
文章が紙やネット上に残るということは、そこに載った間違った言葉も残ってしまうということ。後世に嘘の言葉を教えてしまうことに繋がるのです。結果、「意味は通じるから」とまかり通ってしまうことだってあります。知識や情報もまた然り。
先日、東大教養学部の卒業式にて、学部長がこんな式辞を述べて話題になったそうです。
「(前略)あやふやな情報がいったん真実の衣を着せられて世間に流布してしまうと、もはや誰も直接資料にあたって真偽のほどを確かめようとはしなくなります」
教養のない私が言うのもナンですが、情報を伝える側がソースを確認し、嘘をつかないよう気を付けるのは当然のこと、伝える側も神様ではなく人間であり、努力はしても、嘘や間違いを100%防ぐことは出来ません。
そこで皆様もまた、巷に溢れる情報や、身近な人の話を鵜呑みにせず、真実を見抜く目を持つべきなのでしょう。そう、折れたタバコの吸い殻で、あなたの嘘が分かるくらいに。
それでは最後に。
主婦として、忙しい家事の合間を縫って毎朝調査を繰り返して得た、とっておきのスクープを、皆様だけにコッソリお知らせして締めたいと思います。
信じるか信じないかは貴方次第。
「とくダネ!」のO倉T昭、ありゃ絶対にカツラだね!
時には嘘も必要だけど、やっぱり正直な言葉は心に響きます。

PULLING TEETH / フッコーブシ

 (1090)

PZCI-3
CD価格:2,190円(税抜)
2015/5/13発売


※1997年結成。今年、6年ぶりのアルバムとなる本作を、SLANGのKO がPIZZA OF DEATH RECORDS内に立ち上げたレーベルIN MY BLOOD RECORDINGSよりリリースすることで話題となっている。インタヴューは5月中旬公開予定。

<収録曲>
1. 和を背負う
2. 御命頂戴
3. 男
4. オヤトコ
5. 此処に居るよ
6. 独り言
7. 酔うも酔わぬも
8. 世界のゴロツキ
9. 追い風
10. フッコーブシ
11. 原動力
12. 気にならねえ
13. 起きろ
 (1091)

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