第2回:今、有効なネットを使ったプロモーションって何だろう?

2015年10月2日 更新
第2回:今、有効なネットを使ったプロモーションって何だろう?
記事公開日:2015/09/16

ストリーミング/ダウンロード/フィジカル販売が可能なアーティストのプロモーション

前回に引き続き、ネットでの音源販売の話。今は当たり前となったアーティストがインターネットを通じて音源を発表するというスタイル、最初は凄い時代になったと思ったものだ。今や多くの人がとりあえずアカウントは持っているというほど浸透しているTwitterやFacebook。これらのSNSと呼ばれるサービスの黎明期に隆盛を誇ったのがMyspaceだった。まだ覚えている人も多いだろうし、アカウントを消していないままずっと放置している人も多いはず(笑) 時代とともに廃れてしまい、今となっては「このバンドはまだMyspaceを使っている!」とネタにされがちなSNSだが、あれは当時アーティストとファンを結び、そしてアーティストはインターネットで音源を自主的に公開できる画期的な場だった。余談だが日本でMyspaceに登録すると自動的にフレンドになるOzzie氏を覚えているだろうか? Ozzie氏はメタルが大好きで、メタル系のDJイベントもオーガナイズされていた方だったりする。筆者もだいぶ後になって知り合うことになるのだが、その事実を聞いて驚いたものである(笑)
閑話休題。今はアーティストがインターネットを通じて音源を公開できる場はあれこれ存在する。前回のコラムでストリーミングのサービスのことを書いたが、今回はストリーミング/ダウンロード/フィジカル販売が可能な、特に自主制作で頑張っているアーティストのプロモーションにも直結したサービスについて書こうと思う。
最近ではグッズやフィジカルのみならず、未発表曲やデモのようなレア音源やライヴ音源をアップして、自分たちのオフィシャル・サイト等で販売するアーティストもちらほら見る。しかしそういうサイトを作るには、メンバーやスタッフに協力者でもいれば別だが、外注なら時間もお金も掛かるもの。協力者と言ってもなかなかそういう人も見つからないし、そもそも予算が無いというなら、やはり既存のサービスに頼るのがベストな選択だと思う。その中でも、ようやく日本でも少しずつ浸透してきたように感じるbandcamp(https://www.bandcamp.com)はどうだろうか。既に読者の方でも利用している方は多いと思われる。

メリットばかりでない、デメリットも理解して

メリットから先に話せば、メインはデジタル配信になるが、フィジカル音源やグッズ、チケットの販売も可能なところ。デジタル配信も配信形式を選べ、mp3だけではなくflacでの配信も可能だし、さらに24bitのハイレゾ音源の配信も可能。フル・ストリーミングも試聴機能として使えるのもファンからすれば魅力的に感じる。さらに興味深い機能としては「投げ銭方式」で値段を決められることが挙げられる。つまり音源を購入するファンが自由に価格を決めることが可能で、そこはさながらクラウドファンディング的なスタイルでもある(最低価格は売り手が設定可能)。事実、日本のメタル・バンドで、フィンランドのLion Musicからアルバム「Pathfinder」をリリースしたEarly Crossが、毎年クリスマス時期に合わせてリリースするEPを、昨年この形で販売している。手数料は15%。ただし5,000ドルの売上を達成すれば手数料は10%になるという。
ただ、デメリットというほどではないが、悩ましいのは、このbandcampはまだ日本語版がローンチしていない。英語だけなのだ。だから使える通貨はドルになるし、支払いにはPaypalアカウントが必要となり、販売手数料も先ほどの15%に加えPaypalの手数料4%がかかる。日本で活動しているのだから日本語のサイトで、という気持ちも判るのだが、日本語でbandcampの使い方を詳しく解説するサイト(http://bandcampjapan.com他多数)もあるので、それらを参照しながらであればアカウントを作成するハードルはさほど高くない。さらに海外のメタル・ファンにもアピールできることや、前述したメリットに面白味を感じるのであれば、自主制作で頑張っているアーティストならアカウントを作ってみる価値のあるサイトだと思われる。ちなみに日本語でのサービスではOTOTOY(http://ototoy.jp)が知られている。どうしても日本語に拘るのであればこちらも有効だろう。ちょっとデザインがメタルっぽくないのが難点と言えば難点だが(苦笑)

ファンは音源をちゃんと購入こそ、できればライブだって足を運んで欲しい

前回も今回も筆者がストリーミングを試聴機能と割り切りつつ、最終的にはファンが音源を購入するための策を提案させて頂いているのは、ファンは音源をちゃんと購入してこそだと思っているし、できればライヴだって行ける環境や状況があるなら足を運んで欲しいと思っているからだ。無料かそれに限りなく近い環境で音楽を聴くに留まり、ライヴも動画サイトでアップされているのを観るだけ、そんなサイクルに嵌ってしまう方が今後増えていくと思うと恐ろしいなと思う。各々の経済事情はあるにせよ、ファンが「買い支える」のを止めたら、その先にあるのは暗闇なのではないか。筆者は今やアーティストとファンが一緒に作品を創り上げていく時代ではないかと思っていて、次回かその次くらいにこのことについて書こうかと思っている。